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逆さの砂時計
オペラセリアのエピローグ 3
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 「いいえ。私には理由が出来た。まだ死ぬ訳にはいかない。……でも、貴方には私を殺す権利がある。今なら、私が同意さえすれば、私の人格だけを消滅させられるでしょう?」
 「レゾネクトが退いてるからな」
 「ええ」
 コイツがアリアでいる間に死ねなかったのは、契約を通してレゾネクトに意識を見張られてた所為だ。多分、自分で死のうとしても誰かに殺されようとしても、レゾネクトが全部防いでた。
 契約前に戻って生じたロザリアの意識は、レゾネクトが教会に現れるまで通じてなかったんだろう。でなけりゃ俺には手出しできなかった。腹立つけど!
 経過で判断するなら、別人になれば死ねる可能性は確かにあったと言える。結果は失敗だが……今のレゾネクトなら邪魔はしない。アリアの意思を優先する。自殺も他殺もコイツ次第だ。
 しかし!
 「面倒臭ぇ!」
 確かに忌々しくて鬱陶しくて憎くて、今でも殺してやりたい。
 教会のあの封印……最初は俺と同系統の力で構成されてると思ってた。だから、女神を殺せば解放されると。
 なのに、実際は鍵付きの放置型だったとか。
 あの時点で本当にロザリアを殺してたら、力を蓄え終わるまで自ら半永久投獄状態だぞ!?
 気付いた瞬間にどんだけ焦ったと思ってやがる!
 「お前を殺してすっきりしたいのには変わりないがな。クロスツェルの阿呆に無限説教されるのは御免だ。死にたくなったらヤツを説得して来い。納得させたら、ちゃんと殺してやる」
 アリアがきょとんと瞬いて、笑う。
 「とても難しそうね」
 「知らん。てめぇで決めたんなら必死こいて我を通せ。結果だけは与えてやる」
 俺はアリアなんか知ったこっちゃない。ロザリアがロザリアのままであれば他は二の次三の次だ。
 行く先にロザリアが居なければ、クロスツェルとも再契約はしなかった。
 「出会った当初も感じていたけど、貴方……悪魔にしては変わってるわ」
 「あ? お前に言われたくねぇよ。悪魔で神で人間混じりの、結局何だか判らん謎生物のクセに」
 「そうね。創造神を映した悪魔のレゾがお父さんで、神々に仕えた半神半人がお母さんで。でも、育った環境は人間世界で。私自身が複雑過ぎてまだ混乱しているわ。だって、ねぇ……私……レゾが好きだったのよ。ずっと傍に居てくれたから。恋や愛とは違うと思うけど……信じてはいなかったのに、ずっとずっと……好きだったの」
 俺に言ってどうすんだ。本人に言え本人に。俺を気休めの道具にすんな。ご愁傷さまとでも慰めて欲しいならお門違いだ。
 この女、何処までもウザい。
 「そのおかげで、クロスツェルがうんざりするくらい纏わり付いてくれるだろうよ。あれはかなりしつこいぞ。それこそ逃げたくなるかもな」
 これの何処がそんなに良いんだか、俺にはさっぱりだが。
 「……
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