第13話 私が抱く貴方への思い
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づいていく。すると何か風を斬るような音を僅かに感じた……ってこれは!?
「レン、危ない!」
「え、キャアッ!?」
レンを抱えて後ろに跳んだ、するとさっきまで僕達が立っていた場所に巨大な爪が振り下ろされていた。
そして煙の中から姿を現したのは今まで見たこともない魔獣だった。魔獣の口には既に絶命している男の死体が銜られていた。
「な、何あれ……あんなの今まで見たこともない……」
レンも見たことがないらしく驚いていた。そんな僕達を魔獣は緑色の瞳で捕らえた。
「レン、逃げるぞ!」
僕はレンを抱えて走り出した。魔獣も銜えていた男を捨てて僕達を追いかけてきた。瓦礫を掻い潜りながら逃げる僕達を魔獣は鋭利な爪で瓦礫を粉砕しながら追ってくる。
「何て力だ、それに動きも速い。このままじゃ追いつかれてしまうぞ!」
「リィン、前の扉を見て!」
「あれは……」
レンが見つけたのは大きな分厚い鉄の扉だった、あれなら奴も容易には壊せないだろう。僕達は急いで扉を閉めようとする。
「ぐッ、重い……」
本来なら複数人で動かすものらしく僕が押してもゆっくりとしか動かない。魔獣が直側まで来ているから急がないと!
「うおォォォォッ!!!」
バタンッ ガァァァン!!
僕は必死で力を振り絞って扉を押して閉めた瞬間、魔獣は閉まった扉に激突したようだ。なんとか間に合ったか。
「一体何が起きてるんだ?」
突然謎の魔獣が現れて施設を破壊している、何があってこんな事になったんだ?それにこんな非常事態なのに『先生』とやらは何もしないのか?
……いや待てよ、施設がこんな状態にもなってあの『先生』とかいう男が何もしないのはおかしい。もしかしたら今奴はここにいないのかも知れない。ならこれはチャンスかも知れないぞ。
「レン、一つ聞いてくれ」
「こんな時にどうしたの?」
「いいから聞いてくれ。今この施設はあの魔獣の攻撃で甚大な被害が出ている、とてもじゃないが僕達に構っている余裕は無いはずだ。つまり今の状況ならここから逃げ出せるかも知れない」
「逃げ出す……」
「此処からが本題だ。レン、僕と一緒に来ないか?」
「えっ……?」
僕の問いに困惑するレン、前から思っていた、こんな地獄みたいな場所に彼女を残していくのは嫌だ、なら僕だけじゃなくてレンも一緒に連れて行けないかと。
「で、でも私は……」
珍しく狼狽する様子を見せるレン、やはり彼女にも何か抱えているものがあるのかも知れない。
「レン、僕は君の事情なんて何も知らない。僕は君の思いを無視して自分勝手なこと言ってるのも理解している。でも僕は君
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