暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第169話 襄陽城攻め2
[8/8]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
する。

「警戒するのは当然だな」

 正宗はそう言うと片膝をつき正宗を見上げる甘寧の側に近づくと自らも膝を折り彼女と目線を合わせた。すると正宗は甘寧の腰に手を回し自らの方に抱き寄せた。甘寧は突然のことに何が何だか分からない顔で抵抗もできず正宗に為されるままだった。しかし、自分が正宗に抱きしめられていることに気づき表情を赤らめて言った。

「な。なななな」

 甘寧は声にならない声を上げた。

「甘興覇、人に聞こえぬように話せ。お前は孫家を守りたいか?」
「えっ?」

 甘寧は変な声で正宗に返事した。彼女は少し頬を染め恥じらっているようだった。ただ、正宗の束縛から逃れようとはしなかった。

「孫文台ではなく、孫家に手柄を取らせたいかと聞いているのだ」
「当然です」
「では私の目となれ」

 甘寧は沈黙した。その言葉を甘寧は反芻し、言葉の意味を理解した。正宗は甘寧に自分の間者となれと言っているのだ。それも孫家の情報を正宗に流す間者である。

「私は心から孫文台と孫伯府を信用できん。だが、孫仲謀は違う。あの者は信用できる。お前もな。このまま孫家を潰すには惜しいと私は思っている。今宵、もし孫文台が失態を犯そうと、襄陽城の総攻めの折は私が孫仲謀に機会を用意しよう。孫文台が見事西門をこじ開ければ、この話は忘れてくれて構わん」

 正宗は甘寧にそう囁くと彼女を解放し立ち上がると踵を返した。

「私の話はこれで終わりだ。孫文台に合流し戦功を上げてまいれ」

 甘寧はしばし正宗の背中を呆然と眺めていたが覚醒したのか、正宗に頭を下げ拱手すると立ち去って行った。

「孫文台、本当に手間のかかる女だ」

 正宗は周囲に誰もいない寝所で独り溜息をついた。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ