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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第169話 襄陽城攻め2
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の討伐で正宗軍が被害を最小限に抑え蔡瑁軍を完膚無きまでに叩き潰すことで正宗の武威を荊州中に示すことが重要なのだ。その計画に狂いを起そうという孫堅に正宗が怒りを覚えているようだった。

「文台様は一度決められたら誰の意見も耳に貸しません」

 甘寧は顔を伏せ淡々と正宗に説明した。それを聞き正宗は眉間に皺を寄せた。

「お前では埒があかん! 私が直々に向かい孫文台を止める!」

 正宗は寝巻き姿など気にすることなく寝所を出て行こうとした。

「清河王、既に出陣していると思います。即断即決が孫堅軍のやり方です」

 甘寧は正宗に声をかけ止めた。正宗は彼女の言葉を聞き動きを止めた。その表情は怒りを内に秘め、彼女を眼光鋭く睨んだ。

「甘寧、お前はどうするのだ?」
「これより文台様に合流します」

 甘寧は即答した。彼女に迷いはないのだろう。正宗のことを真摯な目で見ていた。

「所詮は虎ということか」

 正宗は小さい声でつぶやくと甘寧に厳しい視線を向けた。

「甘興覇、お前は孫文台に仕えるか? それとも孫家に仕えるか? いずれだ?」

 正宗は甘寧にゆっくりと近づくと彼女を見下ろしながら質問した。甘寧は正宗の質問に戸惑っているようだった。何の脈絡もなく出された質問の真意が理解できないのだろう。

「孫文台か、孫仲謀のいずかを主人にするか選べと言っているのだ?」
「どういう意味でしょうか?」

 甘寧は正宗の言葉に何か深い意味があると感じたのか険しい表情で聞き返した。

「孫文台はこの一戦で失態を犯せば全てを失う。その時、孫家を守る気はあるかと聞いているのだ?」

 甘寧は表情を固くした。正宗は彼女に孫堅を見捨てる気があるかと聞いていた。彼は孫堅が夜襲に失敗すれば太守の地位を罷免するつもりなのだろう。そうなれば孫家は財政基盤を失う。それは孫堅が一代で築いた軍閥を維持できなくなるということだ。蔡瑁討伐後の荊州支配は正宗によって執り行われる。その中で孫家の居場所が無くなることは容易に想像がつく。

「孫仲謀は見込みがあると私は思って入る。この私の幕僚に加えても問題ないとも考えている。孫仲謀が私の幕僚となれば孫家の軍も温存できるだろう。だが、孫仲謀は若い誰か補佐が必要だ」

 正宗は意味深な言葉と共に甘寧の目を見た。

「私に夜襲に加わるなということでしょうか?」

 甘寧は正宗に怒りを覚えているのか語気を抑えながら言った。彼女は正宗が自分に取引を持ちかけていると思っているようだ。

「勘違いするな。私は孫文台が失態を犯した時のことを言っている。お前が孫家を守りたいと思っているか知りたかっただけだ」

 正宗は表情を緩め甘寧に答えた。甘寧は表情を崩すことなく、正宗の真意を探ろうと沈黙
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