第169話 襄陽城攻め2
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発言とする。話を終えたら互いに忘れろ。城門を破れる可能性はどのくらいだ? 本音で申してみよ」
正宗は真剣な顔で甘寧に訊ねた。
「文台様が攻めるのは襄陽城の西門からです」
「何故、西門から攻める?」
正宗は孫堅の作戦を訝しんだ。わざわざ西門を攻める理由が何かあるかのかと考えたのだろう。甘寧は正宗に襄陽城内の状況を簡単に説明した。それを聞き、正宗は余計に表情を難しくした。
「完全に塞がって居ないとはいえ難しいのではないか? 本気で孫文台は西門を破れると思っているのか?」
「無理とは言いませんが成功の確率は高くないかと」
「そのことは孫文台は承知しているのだな」
甘寧は口に出さず顔を伏せ頷いた。正宗は渋い表情に変わると天幕を見上げた。
「孫文台が夜襲に失敗すれば城に篭る蔡瑁軍の兵士達は戦意が昂揚するだろう。その意味は理解しているであろうな?」
正宗は険しい表情で甘寧を見た。孫堅が夜襲に失敗すれば襄陽城の士気が上がり攻め手にとって都合が悪くなる。今後の戦局を左右する一戦になるため、正宗は孫堅のいちかばちかの勝負に出る姿勢に難色を示すのは仕方ないといえた。
「甘興覇、何故に孫文台を諌めなかった。忠義とは主君に僕のようにかしずくが勤めではないぞ」
「文台様は覚悟を決めておられておりました。不利であろうと文台様に従うのが私の道だと思いました」
甘寧は顔を上げ正宗の目を直視して言った。その表情には迷いがなかった。
「それで主君が失脚しようとか?」
正宗は冷徹な目で甘寧を見た。彼の瞳には感情が篭っていなかった。
「この一戦で失態を犯せば孫文台を長沙郡太守から罷免する。その覚悟が孫文台にあるのだろうな?」
正宗は感情が篭らない声で甘寧に伝えた。甘寧は正宗の通告に体を硬直させていた。
「文台様は清河王への名誉挽回のため、この一戦にかけております。必ずや朗報をお持ちいたします」
「甘興覇、言葉だけならどうとでも言える。戦に奇跡などそうそう起こるものでない。気概のみで戦果を得られれば苦労などない」
正宗は甘寧に厳しい口調で言った。
「私への名誉を挽回するつもりなら先陣としての勤めを果たせばいいのだ。何故、功を焦る。このまま城を攻めれば時期に敵の兵糧と士気は尽きる。その時に功を目指せばよいだろう。孫文台の力量なら十分に可能なはずだ」
正宗は真剣な顔で甘寧に言った。彼は元々長期戦を視野に入れ、襄陽城攻めに挑んでいた。この討伐は正宗が荊州の主であると衆人に示す絶好の機会といえた。だからこそ蔡一族を殺戮し襄陽城攻めの際の抵抗を激しくするために布石を打ったのだ。
孫堅が失態をおかせば敵の戦意があがり抵抗が更に激しくなり、正宗軍にも大きな被害が出る可能性がある。こ
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