第169話 襄陽城攻め2
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は屈さぬだろう」
正宗は劉弁と劉協の間柄を知っているだけに、賈?の兄への暴挙を許すわけがないと考えているのだろう。皇帝への即位を拒否する可能性がある。
「ならば兄妹の情を利用して、陳留王に納得させるため現皇帝を表向き病死したなどと評して廃位し軟禁するでしょう」
朱里の言葉に正宗は難しい表情に変わった。
「そうなれば、この私に朝敵の勅を発布されるな」
「正宗様は董少府を糾弾する檄文を出されればよろしいのです。『皇帝陛下を弑逆し廃位し天下の大逆人・董卓を撃つべし』と。それで正宗様の敵と味方が分かります」
「朝廷側が病死と公式に発表すれば私に味方するものは限られると思うがな」
「全ての百官が大人しくしていますでしょうか?」
朱里は冷酷な笑みを浮かべた。
「百官は一枚岩にならないでしょう。賈文和は皇帝陛下の廃位を実行に移すために百官の粛正を迅速に行うはず。全てを討ち果たすのは難しいです。必ず落ち延びる者達がおりましょう。その噂を知った上で正宗様の朝敵と見なすならば、その者は明確な正宗様の敵にございます。既に華北と華南の主要部は正宗の影響下にございます。それに私達には青州黄巾軍十万が伏兵として控えております。それを使い敵の行動を鈍らせ、各個撃破すればよろしいのです」
朱里はこの機に正宗に敵対する勢力を根こそぎ排除するつもりのようだった。彼女の提案に正宗は納得した様子だった。
「陳留王を救うことは可能か?」
正宗は朱里の献策を黙ってきいていたが徐に口を開いた。
「私は先帝に陳留王の身を守って欲しいと頼まれている。私自身も陳留王を守りたいと考えている。政治の具として死なせるにはあまりに不憫だ」
「問題はございません。陳留王を保護なさってください。ただし、陳留王には天下の趨勢が定まり次第、勇気あるご決断をしていただくことになります。その説得は正宗様にお任せいたします」
朱里は正宗に拱手した。正宗は朱里の言葉が劉協が自ら皇帝位を辞意し、正宗に対して禅譲することを意味することを理解した。彼は重々しい表情で小さく頷いた。
朱里は正宗が納得した様子を確認すると再度深々と拱手し、正宗の元を去って行った。
正宗と朱里が密談を終え、彼が寝所に入り寝入ろうとした頃。彼の寝所の外に人の気配を感じた。正宗が気づかない訳もなく、彼は目を覚ました。
「甘興覇か?」
正宗は唐突に呟いた。彼は両目を開けると寝台より抜け出し、寝台を椅子代わりに腰を掛けた。
「はい」
甘寧は正宗が自分の存在に気づいたことに驚いている様子だったが正宗に返事した。
「何用だ?」
「火急の件でまかり越しました。主君・孫文台からの言づてを持って参りました」
甘寧の言葉
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