第169話 襄陽城攻め2
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
正宗は自らの陣所に設営された寝所にいた。夜更けだったが正宗は就寝することなく起きていた。彼の元に冥琳より文が届けられていたからだ。文を彼の元に持ってきたのは朱里である。正宗は朱里から文を受け取ると竹巻の封を解き中身を読んだ。
「正宗様、冥琳殿は何と仰っているのです?」
正宗は文を読み終わると思案していた。その様子を見ていた朱里が彼に声をかけた。
正宗は朱里に声をかけられると文から目を上げ彼女を視線に捉える。
「冥琳は都で問題に巻き込まれたようだ」
正宗は朱里に答えると冥琳からの文を彼女に手渡した。彼女は文に目を通すと徐々に難しい表情に変わった。
「子細は冥琳殿に直接聞かないと分かりませんが。王司徒と董少府の争いに巻き込まれたようですね」
朱里は正宗に言った。正宗も頷いた。
「王司徒の過剰な態度やも知れないが、王司徒とて馬鹿ではない。都に醸成する空気はあまり良いものでないだろう。少なくとも董仲穎派がそのような暴挙を行うことが可能なのであろうな」
正宗は考え込むように腕組みをしていた。
「董少府は麗羽殿を襲撃したことは事実。情勢は違えど冥琳殿を拘束しようと考えないことはありません。ただ、冥琳殿の見立て通り確証はございません」
「冥琳も都に行けばそうなるのは想定内のことであろう。朱里、私は漁夫の利を得るためにどう立ち回るべきだろうか?」
正宗は董卓との衝突に動揺している様子はなかった。彼の中ではいずれ来たるべきことが今やってきただけのだことなのだろう。
「冥琳殿は冀州より援軍として二万の軍勢を率い合流するとあります。蔡徳珪を誅殺し戦後処理を終える頃には冥琳殿と合流できるでしょう」
「董仲穎と一戦を交えるということか?」
正宗は神妙な表情で答えた。冥琳の増援と合わせ上洛軍としては過剰と言える陣容である。朱里は頭を振った。
「まずは董少府の出方を見なければなりません。そのために正宗様には予定通り二千の手勢のみで上洛していただきます。ただし、連れて行く手勢は泉と冀州兵より選りすぐった馬術に優れた騎兵のみで編成させていただきます」
朱里は董卓と決定的な衝突をこちらから行うつもりはないようだった。しかし、何かあった時のために正宗が洛陽から離脱出来るように同行させる警護の兵は機動力のある騎兵に厳選しているだろう。
「寡兵にて上洛した正宗様を襲撃したならば董少府は紛う無き敵にございます。ですが、何も無ければ董少府は正宗様に表向きとはいえ膝を折った証となりましょう」
「董仲穎が差配するとは思えんがな」
正宗は意味深な言い方を朱里に帰した。
「例え賈文和が差配しようと、彼女の主君は董少府です。賈文和が正宗様を襲撃すれば、その責任は董少府にあります」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ