暁 〜小説投稿サイト〜
俺が愛した幻想郷
俺は愛せる? 幻想郷...
甘い香りは理解力を活性化させる
第二十二話 緑と青と土の真ん中に女の子
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
か。でも、ここは人間が通ることなんてほとんどないんじゃなかったのか?

「こんなところで人間を待ってたの?」

「動けないの…」

会った時から何一つ変わらない無表情で、自分の脚に指を突き立てながら少女はそう言った。
お腹が減って力が出ないってことか… でもまた、なんでこんなところで力尽きたかね…

「もっと違うところで探せばよかったのに」

他人事だが、かなり酷いことを言っていることに気づかない男子高校生の俺。
運良く俺が美味しくなさそうだったからよかったものの、美味しそうな人間だったら喰われてた。それに対し今さっき俺は、他の人を喰えと言ったのだ。
他の人…ごめんなさい。

「なんでこんなところまで来ちゃったのさ」

こんなところ、俺も正になんでこんなところにいるのさ…

俺がそう言うと、今まで変えなかった表情を少し、ほんの少し変えた。頬をほんのり赤くし、小さな口を弱く歯?みして、それまた小さく、少女は言った。

「迷子に…なった……」

「そうか」

そうか、ってなんだよ。澄ました言い方しやがって俺。これじゃまるで、感情も上手く伝えられない思春期の、いや、それ以前にどっかのクールキャラみたいになってんじゃねぇか!

って言うかなんだ可愛いなこの子こんちくしょう!
そしてこの道、迷子になるやつ多すぎだろ! 俺も人のこと言えないけど… だからこそ俺を合わせて、博麗ちゃんも混ぜて、この子も合わせるとこれで三人だぞ…

一日一回のペースでここには迷子が出るのか…? おい、誰か迷子センター作ってやれよ!

ふぅ…

「俺はこの道の抜け方知ってるけど…」

「着いて行く」

あ、こいつ使える、みたいな顔で俺を見るのやめていただけますかね。

「あと、行き先が博麗神社なんだけど、大丈夫かな。君、妖怪でしょ?」

「大丈夫。霊夢とは、仲良い」

ああ、そっか、妖怪退治とは言ってもそれは昔の話だし、今は弾幕ゲームで済ませてるんだっけ… 謂わば和解、と言ったところか。

「ルーミア」

少女は俺から目を逸らしながらそう言った。

「名前?」

目を逸らしたまま、こくりと頷いて少女… ルーミアは返事をした。

「俺は、八雲琥珀。少しの間だとは思うけど、よろしく」

ルーミアは先のように返事はせず。ただ単に逸らしたままだった。
まぁ、いいや。とマウンテンバイクを手で押し始めると、

「待って」

背後からルーミアの落ち着いた透き通る綺麗な声が聞こえた。
ん? と振り返ると、

「う、動けないん……だってば………」

と、畑見でわかるくらい顔を真っ赤にして、小さな右手で口を隠しながらそう言った。
この子こそ、感情を上手く伝えられない、クールな子であ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ