俺は愛せる? 幻想郷...
甘い香りは理解力を活性化させる
第二十二話 緑と青と土の真ん中に女の子
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か。でも、ここは人間が通ることなんてほとんどないんじゃなかったのか?
「こんなところで人間を待ってたの?」
「動けないの…」
会った時から何一つ変わらない無表情で、自分の脚に指を突き立てながら少女はそう言った。
お腹が減って力が出ないってことか… でもまた、なんでこんなところで力尽きたかね…
「もっと違うところで探せばよかったのに」
他人事だが、かなり酷いことを言っていることに気づかない男子高校生の俺。
運良く俺が美味しくなさそうだったからよかったものの、美味しそうな人間だったら喰われてた。それに対し今さっき俺は、他の人を喰えと言ったのだ。
他の人…ごめんなさい。
「なんでこんなところまで来ちゃったのさ」
こんなところ、俺も正になんでこんなところにいるのさ…
俺がそう言うと、今まで変えなかった表情を少し、ほんの少し変えた。頬をほんのり赤くし、小さな口を弱く歯?みして、それまた小さく、少女は言った。
「迷子に…なった……」
「そうか」
そうか、ってなんだよ。澄ました言い方しやがって俺。これじゃまるで、感情も上手く伝えられない思春期の、いや、それ以前にどっかのクールキャラみたいになってんじゃねぇか!
って言うかなんだ可愛いなこの子こんちくしょう!
そしてこの道、迷子になるやつ多すぎだろ! 俺も人のこと言えないけど… だからこそ俺を合わせて、博麗ちゃんも混ぜて、この子も合わせるとこれで三人だぞ…
一日一回のペースでここには迷子が出るのか…? おい、誰か迷子センター作ってやれよ!
ふぅ…
「俺はこの道の抜け方知ってるけど…」
「着いて行く」
あ、こいつ使える、みたいな顔で俺を見るのやめていただけますかね。
「あと、行き先が博麗神社なんだけど、大丈夫かな。君、妖怪でしょ?」
「大丈夫。霊夢とは、仲良い」
ああ、そっか、妖怪退治とは言ってもそれは昔の話だし、今は弾幕ゲームで済ませてるんだっけ… 謂わば和解、と言ったところか。
「ルーミア」
少女は俺から目を逸らしながらそう言った。
「名前?」
目を逸らしたまま、こくりと頷いて少女… ルーミアは返事をした。
「俺は、八雲琥珀。少しの間だとは思うけど、よろしく」
ルーミアは先のように返事はせず。ただ単に逸らしたままだった。
まぁ、いいや。とマウンテンバイクを手で押し始めると、
「待って」
背後からルーミアの落ち着いた透き通る綺麗な声が聞こえた。
ん? と振り返ると、
「う、動けないん……だってば………」
と、畑見でわかるくらい顔を真っ赤にして、小さな右手で口を隠しながらそう言った。
この子こそ、感情を上手く伝えられない、クールな子であ
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