第31話
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からかった孫策に、周瑜が諭すように横槍を入れる。
「わかったわよもう!……実はさっき私達にも知らせが届いたのよ」
「此処にも袁家の使者が?」
「ええ、ただの使者じゃなくて当主だったけど」
「な!? からかわないで下さい! いくら私でもそれが冗談だとわかります!」
「あわわ、冗談ならどんなによかったか……」
真面目な呂蒙が意味深に呟く。それを聞いて姉に喰らい付いていた孫権は動きを止め、恐る恐る周瑜の方に目を向けた。その意図がわかった周瑜は溜息を一つ洩らし、彼女が求めている答えを言葉にする。
「残念ながら事実だ、此処には先程まで袁紹殿が居た」
「!?」
目を見開く孫権、呂蒙は少し前の自分を見ているような気分に陥り。
その横で、妹が驚く表情を面白そうに眺めていた孫権が、意を決し口を開いた。
「蓮華……貴女は合同軍儀の時留守番をよろしくね」
「な!? ……私も孫呉の次期当主として参加すべきでは?」
「代表を『三人』と言われたの、私と冥琳と穏で三人。勢力としては格下の私たちが大勢で行くわけにはいかないわ」
「……わかり…………ました」
「雪蓮、何故あんな嘘をついた。袁紹は代表と言っただけで人数は指定していない。孫権殿一人連れて行くのは難しく無いだろう?」
「今のあの娘を袁紹に会わせるわけにはいかないわ」
「……何故だ」
孫策にしては珍しくふざけた雰囲気が無い。彼女が真面目な時は孫呉の未来を左右するような事柄が多く。それを良く知る親友、周瑜は一字一句聞き逃さないよう耳を澄ませた。
「蓮華の当主としての気質は私とも、そしてお母様のものとも違うわ。
義と徳を重んじるソレは袁紹に近いわね」
言って、先程の袁紹を思い出す孫策。以前、黄蓋が袁紹の器について評価していたが、今日初めてその容量の計り知れない器のでかさを痛感した。
彼が纏う器のでかさを体現したような威圧の空気。息が出来ず、心の臓を握られたかのような圧力は余りにも――
「袁紹は蓮華が目指す当主の姿そのものよ、問題は完成されすぎていることね」
「つまり……ここで袁紹と会わせては自信を無くす可能性があると?」
「そういうこと♪」
未熟な妹とさして変わらぬ年齢、それでいて遥か高みにいる人間を見せ付けられれば心が折れる。
孫権は真面目だ、それが自分の歩みを止める原因とわかりながらも、袁紹と自分の器を比べ、自身の未熟さに絶望するだろう。孫策は伊達に長女、そして孫呉の当主として立っているわけではない。
その気質の違いから何かと反発されてはいるが、妹の事を誰よりも理解していた。
「心配はないわ、私の見立てだと蓮華の伸び代は彼を
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