第31話
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呂蒙は質問に対しどう答えて良いかわからず、慌てふためき。
そして周瑜は、口を閉じ静かに袁紹の目を見ていた。
「フハ! 下手だな周瑜よ、隠し事がある時沈黙は悪手ぞ。孫策のように呆けるか、呂蒙のように慌てる振りで良い。逆に何の反応も見せないのは、悟られたくない『何か』があると言っている様なものだ」
「ッ!?」
その言葉に思わず顔に手をやる周瑜。そして『しまった』という表情。
「フハハ! 正直であるな周瑜。我は正直者が大好きである!!」
「……お戯れを」
完全にしてやられた形だが、周瑜の余裕は崩れない。
今のやり取りで袁紹は確信に近い何かを持っただろう。しかし証拠が無い。
孫策とは違い、己の勘だけで動く人物では無い事を知っている。大胆で慎重。
その方針、袁紹の考えが、袁家をことさら強大な勢力に成長させてきたのだ。
「戯れか……そうだな、ここまでが戯れ。この先が本題である」
「……?」
「お前達孫呉が独立の為に奮闘しているのはわかる。水面下での努力も並の物ではなかろう。
――だが」
『!?』
袁紹の纏っていた雰囲気が変わる。連合の同士から、大勢力袁家当主のものに。
「その牙が我と――我が妹に向いた時には容赦せん。完膚なきまでに叩きのめし、独立の芽ごと狩りとろう」
「……」
袁紹の本題、それは警告。
今回の彼女達の企みは問題ない。たとえ董卓が噂と違い潔白だろうと、連合には『参加』していたのだから。
結果論ではあるが妹とも対面でき、張勲を引き込むことに成功した、感謝すらしている。
彼女達の独立心は強い。形振り構わないそれが妹に向くことを袁紹は危惧した。
「さて、我等はもう行くとしよう。ああそれから、後ほど我が陣で合同軍儀を行う。
代表の人間を連れて来るように」
名族の圧から未だ動けない三人に用件を簡潔に伝えると、言葉の通りに立ち去っていく袁紹。
孫呉の三人は、まるで嵐にでも見舞われたような心境で佇んでいた。
「姉様ーー!」
「……蓮華?」
しばらくして、重たい空気を漂わせていたその場所にまた一人。
孫策の妹である孫権、真名を蓮華がやって来た。
「貴女には陣の管理をお願いしたはずでしょ、どうしたの?」
「大体終わったから思春と穏に引き継いでもらっています。ここには使者からの言伝を伝えに」
「当てて見せようか、袁家でしょ?」
「な!? 何故わかるのですか!!」
「ふふん、雪蓮姉様にわからない事なんて無いのよん♪」
「からかうな雪蓮。孫権殿はお前と違って真面目なのだ」
生真面目な孫権は姉の冗談を真に受ける。その様子が面白いから
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