第31話
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は子明。茶色の髪をコンパクトに纏め。緊張からか眼つきが鋭いが、知性と伸び代を感じさせる瞳。大きな片眼鏡が特徴的だ。
孫呉の者にしては肌の露出が少なく、全体的に長めの衣服、特に袖が長く腕は完全に隠れてしまっている。軍師見習いとの事だが一応武も嗜んでいる様で、唯一大きく露出している足のしなやかさがそれを物語っている。
「…………」
「む、猪々子?」
気が付いた時には、袁紹と呂蒙の間に猪々子が割り込んでいた。そして彼女の行動の理由を聞こうと口を開く前に、猪々子は呂蒙に向けて言い放つ。
「ネエちゃん……暗器仕込んでいるだろ」
「は、はい! ごごごごめんなさいぃぃぃ!!」
「確かに亞莎は暗器を使うけど、暗殺用じゃないから安心していいわよ」
「た、足りない武力を補うため処置ですぅぅ」
「なんだ、じゃあ問題ねぇな」
合点がいった猪々子は殺気をしまい後ろに下がる。一見無警戒にも見えるが、呂蒙が妙な動きをした瞬間斬りかかれる位置に陣取った。
「良くわかったな猪々子。後で褒美をとらそう」
「やりぃ!」
褒美が出ることに顔を輝かす猪々子。彼女の様子に和んだ後、袁紹は顔を正し孫呉の三人に振りる。
「実は挨拶ついでに聞きたい事があってな」
「……私達に」
袁紹の言葉に純粋に興味を持った孫策とは違い、周瑜は警戒心を露にした。
思えば前回も質問から『頼みごと』に発展したのだ、無理も無い。
「今回の絵図を描いたのはお前達だろう?」
『!?』
「……黒幕がいる?」
「はい」
連合に参加を決めたその日の夜、準備を進めている袁紹に対し桂花、風の両名が己達の見解を聞かせに訪ねてきた。
「今回の袁術様決起は余りに唐突です。また、今まで静観を決めていた張勲がそれを許すとも思えません」
「加えて言うなら、今回の決起は私達を邪魔をするのが目的でしょう。桂花さんの策を逆手に取ったと見ると自然です〜」
「申し訳御座いません……」
自分の策を利用され、目的はおろか、その間に行う筈である反袁紹派の鎮圧も出来なくなった。
気のせいか猫耳に元気が無く、垂れ下がっている。袁紹は彼女を慰めるように頭をなで、質問を続けた。
「では、裏で手を引いているものがいると……」
「はい、反袁紹派の誰かをそそのかし、袁術様に決起させた者がいるはずです」
「張勲の目を盗み反袁紹派に接触でき、尚且つ連合の勝利で利を得る勢力……」
『孫呉』
袁紹の質問に三者三様の反応が返って来た。
孫策は、『質問の意味がわからない』とでも言いたそうに口を開きながら呆け。
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