第31話
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きに、新人である呂蒙が舌を巻き始めた頃、周瑜は目を見開き驚愕した。
「馬鹿な……何故」
「え、えっと……お知り合いですか?」
尊敬する周瑜の普段見せない驚きっぷりに、呂蒙はその原因であろう此方に向かってくる三人を見ながら尋ねた。
その様子に、クスクスと笑い声を上げていた孫策が答える。
「さっきまで私達の話題の中心に居た人よ」
「話題の中心……ま、まさか!?」
孫策から発せられた言葉と、先程話題になっていた人物を思い出し呂蒙は目を見張る。
腰まで届きそうな長く美しい金髪、意志の強そうな鋭い瞳、嫌味ではなく、自信の強さから来るであろう笑みを浮かべ。
光沢のある黄色い鎧が金色の光を発し続けている。
それは、伝え聞いた『袁紹』の出で立ちそのもの。左右に居る女性達も只ならぬ気配を持つことから、彼女達がかの有名な袁家の二枚看板だろう。
「…………」
呂蒙にはわからない。何故彼等がここに居るのか。
俄かに信じがたいが、主と師の反応から察するに本物なのだろう。
だからこそ信じられない。個々の優秀さで孫呉が袁家に劣っていると思ったことは一度も無い。
しかし家柄、立場、勢力という面では天と地ほど差がある。そんな袁家から見て格下の孫呉に、このもあろうその当主が訪ねてくるなんて―――
『袁家の常識は非常識』これは元々袁紹一人に使われていた言葉である。
「黄巾以来、久方ぶりなはずだが昨日今日のように感じるな。孫策、そして周瑜よ」
袁紹達の顔が視認出来る場所から、拝手して待ち構えていた孫呉の三人。
彼女等の胸中などいざ知らず、袁紹は比較的友好的に言葉を掛けた。
「お久しぶりで御座います。……此処へはどのような用向きで?」
「挨拶に来ただけである――が、『用』があった方が良かったか?」
「ッ!? これは出すぎた事を、申し訳御座いません」
「フハハ! 構わぬ、今の我は機嫌が良い――それに。挨拶に来たのは本当だ。近くに用事があったのでな、此処へはついでに顔を見に来たのだ」
拝手の姿勢から顔を上げた周瑜は、袁紹の言葉にホッと胸をなでおろす。
黄巾の事は未だ記憶に新しく、前回のような『頼みごと』を警戒していたのだ。
「フム、そこの者は初めてであるな、表を上げよ」
拝手の姿勢で固まっている女性に袁紹が声を掛けると。彼女は恐る恐るといった感じで顔を上げた。
「は、ははは初めまして! 私の名は呂子明、孫呉の軍師見習いにですぅ!!」
「お、おう」
極度の緊張から挨拶した呂蒙。そのの勢いに袁紹は思わずたじろいだ。
しかしそれでも観察を怠らない、流石である。
――呂蒙、字
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