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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 23.
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派遣教導技術部に所属している。少人数ならではのフットワークを効かせた組織で、部管轄のKMFはランスロットという伝説の騎士の名を持つ白い機体だ。
 黒の騎士団のカレンが操る紅蓮弐式と同世代のKMFと言われ、同国製のグロースターとは一線を画する高レベルの性能を保有する。
 デヴァイサーと呼ばれる操縦者は、ここにいるスザクが専属。日本人ながらブリタニア側の名誉市民という、2国に跨がった生き方を選んだ心の強い人物だ。
 店長など、所詮は社内に通用する肩書きで働く一サラリーマンにすぎない。所作どころか立ち姿一つ違う帝国の純血貴族が突然現れ、心臓を銃弾で撃ち抜かれた気分になっているのだろう。
 しかも、昨日のライノダモン騒動を武器に「全て知っているから」と開店前の施設内に進み入るなら、異国の干渉とはいえ無下にもできなくなる。
 彼等には荷が重い。ミシェルは、2人に同情した。
 ZEXISと特派。所属だけで解釈すれば、本来国連麾下のZEXISとブリタニアの特派は相容れない敵対関係にある。しかし、ロイドの態度を見てもわかる通り、彼はZEXISに対しかなり好意的で、ランスロットは一度ならず二度までもZEXISと共闘した過去を持つ。
 二度目など、短い期間ながらZEXISと寝食まで共にした。
 何故、ブリタニア・ユニオンの人間が制服を着たままここにいる。
 そして、何故またも特派なのだ。
 震動音がし、店長の携帯が鳴った。これ幸いと男は、「10分程で戻ります」と言い残して部下と共に足早に輪から抜ける。
 各店舗の店員達が慌ただしく働いている様子が見えるエントランスで、床に映り込むまとまった人影はミシェル達ZEXISとロイド達特派の人間だけになった。植え込みが整え直されているので、吹き抜け直下のミシェル達がはっきりと見える店舗は極限られている。
 最早、遠慮する必要はなかった。ミシェル達も、ロイド達も。
「どうやって聞きつけたんだ? ここは、エリア11じゃないぜ」
 ミシェルは皆の関心事の中から、まず最大のものに触れてロイドに問う。
「三大国家を侮っちゃいけないな〜」目尻を垂らし、軽い口調で貴族の男が答える。「バトルキャンプの動きは、みんな知っているんだよ。勿論君達だって、監視されている事は承知していた筈だよね」
「…やっぱり見張られていたのか」
 ミシェルには、昨日発したとされるキラの言葉が特別意味深なものに感じられた。昨日クロウが聞かせてくれたキラとロジャーの話を嫌が上にも思い出す。
 第4会議室を監視している目があると感じたティファは、それが大変危険なものであるとひどく怯えていたという。昨夜、件の会議室に2本のバラが置かれていた事で監視の目は謎の敵のものと断定されたが、元々バトルキャンプが三大国家に監視されている可能性は全く別なところにも
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