月下に咲く薔薇 23.
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が駐車場の上階を仰いだ。
昨日分乗し駐車スペースに収めた6台の車はここで一夜を過ごし、今も同じ場所にある。流石に車が足らなくなって、今日はクラッシャー隊の隊員から善意の提供を受け皆が5台に分乗した。
1台少なくて済むのは、クロウとロックオン、ロジャー、ドロシーの4人がバトルキャンプに残ったからだ。しかも、クランと中原は基地にさえいない。
往路、ミシェルは余り皆と話をせずに済んだ。気を遣う女性達が何人も同じ車に乗ろうとしたが丁寧に辞退し、同車にはデュオとキラ、アスランの他に唯一の女性としてミヅキが乗った。
運転を買ってでたミヅキは、始終何かの話をしていたように覚えている。それらは意見を求めるものではなく、自分が考えた今日の再現プランを発信し続ける内容だった。
助手席に座るミシェルへの配慮もあったのだろう。ただ、彼女自身が手探りをし、零れ落ちるものがないよう計画の反芻をしている。話しぶりからそんな印象を受けた。
折角、最初の異変が起きた地点にZEXISが再び向かうのだ。拾えるものは全て拾って帰りたいとの強い思いをミヅキから感じる。
しかしそれは、開店前という現実にいきなり阻まれてしまった。
5台の車から何人かが降り、頭を寄せ合って修正の検討に入る。
「どうする? って、引き返す訳にもいかねぇだろ」帽子を直しながら、デュオが建物の外観を見遣る。「息抜きで来た昨日とは事情が違うしな」
「そうね。とにかく中には入れてもらいましょう」
大山が、ショルダーバッグから名刺を1枚取り出す。
21世紀警備保障の社章とロゴも入っているが、最も目につくのはダイ・ガードの近景だ。
「名刺?」目を輝かせたミヅキが問うと、何故か大山は少し残念そうに眉をひそめる。
「そう。ダイ・ガードが有名になり始めてから、会社が刷り直したものなの。私達にはクラッシャー隊程の権限がないから、これが効かなかったら少し時間がかかるわ。とにかく、やれる事は全部試してみないと」
「助かります」と、ミシェルは大山に軽く頭を下げた。「今日ここに来た顔ぶれの中で、こちら側の日本に通じる信用があるのは21世紀警備保障だけですから」
ミシェルが言う信用には、2つの条件を満たす必要がある。
1つは、この多元世界に存在する組織である事。そしてもう1つ、表の顔が広く知られている事だ。
ダイ・ガードは、元々21世紀警備保障のロボットとして広報活動には参加していたと聞く。当初、武装は皆無な上、装甲もスコープドッグ並と社内で大変評判が悪かったものの、その状態のまま初めてのヘテロダイン戦で戦果を上げ、知名度と共に周辺予算も上がったらしい。
「ダイ・ガードの21世紀警備保障」という浸透によって、今ではクラッシャー隊に次ぐ影響力を国内に持つに至った。
勿論、共にクラッシャー
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