月下に咲く薔薇 23.
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のまま舌打ちする。
「気にするな。これは確保の失敗ではないのだから」ロジャーが、武装した4人をフォローする。「奴も持っているであろう能力の存在を、今確認した。単にそういう次元の話だからだ」
『私もそう判断する』と、ジェフリーもアイム転移の現実を前向きに捉える。『奴は5分後に必ず現れる。包囲網は維持するが、フォーメーションを変更してアリエティスの出現に備えるんだ。そしてクロウ』
「わかってる。俺だけ、生身で外に出ればいいんだな?」
腹を括って返答した。
『そうだ。申し訳ないが、君には最も危険な役割を1人で担ってもらう事になる。取り出しの成否については考えなくていい。奴自身の殺意についても、だ。今のアイムは、万難を排してでも君の身を守ろうとするだろう。自分は必ず生還できると信じるんだ』
「ああ。ただ、奴を信じるのは癪だから、精々自分の強運ってやつにでも祈っておくさ」
『その強運なら、サンクキングダムで私は見届けている。あの時も、君は見事生還した』
「そうだったな」
腹を大きく引き裂かれた事を思い出し、幾らか元気が出る。金との縁は薄いようだが、強運なるものは確かに持っているのかもしれない。
『では諸君、改めて行動開始だ』
窓外で、アルト機とサンドロックが建物から離れた。
クロウの背後では、ロックオンが申し訳なさそうに自分の携帯端末を服の中に入れる。
「俺もデュナメスで出るつもりだ。…頑張れよ」
そうそう付きっきりという訳にはゆくまい。「頼むぜ、ガードマン」と笑いかけてから、クロウは駆け足で会議室を出る。
5分などあっという間だ。急がなければ。
左手に通話状態の携帯端末を握りしめ、落下する勢いで階段を下る。
外に出ると、植物片捜索の為に広がっていた仲間達がケンジの指示で一斉に撤収を始めていた。それを地上で待機しているヨーコ達のガンメンや空中待機しているオーガスが守っている。
機体サイズが不統一なので遠近がついて見えるが、クロウが立つ事になっている場所を全機が睨みつつ海側に1列、陸側に1列と合計2列の直線を成し滑走路を挟んでいる。
クロウは1人、ZEXIS機が作る包囲網に入るつもりで人の流れに逆らって走った。
「どうかご無事で!」
クラッシャー隊隊員の1人が、すれ違いざまに声をかけてくれた。そういう小さな心配りが嬉しい。
トレミーからデュナメスが発進する様子は、まだなかった。
代わりに、万丈のダイターン3がダイグレンからダイタンク形態で発進する。バルディオス以上の120メートル級機は、ファイター、タンクのいずれに変形しても破格のサイズになる文字通りの巨大ロボットだ。
太陽の紋章を額に戴き、その圧倒的な火力で万丈が敵と判断した者を容赦なく裁く。ダイターン3が額を指した時。それは、日輪の輝きが悪を
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