月下に咲く薔薇 23.
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こえますね? ジェフリー・ワイルダー」クロウを無視し、アイムはロックオンの携帯端末に映るマクロス・クォーター艦長に呼びかける。「場所は、バトルキャンプ上空。そこで、ブラスタに搭乗したクロウ・ブルーストから異物を取り出して差し上げましょう。ZEXISとして回避できるものが大きくなりますよ」
『連れ去る意図はない。そう言いたいのか?』
「ええ」容易く虚言を唱える口が、短く肯定する。「まずは、『揺れる天秤』に引きつけられた敵の置き土産を除去します。それ無くして、私と彼の連携もあり得ません」
いつになく突き放した物言いに、「ほぅ」とロジャーが眉を上げる。
今のクロウとは組みたくない。アイムは遂に断言した。
「そいつぁいい!」極自然な反射でクロウは破顔し、自らの胸を指す。「アイムが俺を嫌う? …まずいな。急にかわいくなってきたぜ」
「…現状を理解しているのでしょうに。あなたは、一体誰と戦いたいのですか」
一度ならずZEXISがぼやいた言葉を、今度は他ならぬアイムがクロウに返して寄越す。
「ヒイロが言っただろ? この世界の脅威って奴とだ」
当然、その括りの中にインペリウム帝国が入る事を敢えて仄めかす。
今のZEXISにとって、アリエティスのみが持つ能力は喉から手が出そうな程魅力的だ。Dフォルト突破の決定打を欠いている事をアイムに見透かされてしまったし、クロウ自身、虚言家との共闘はやむなとしと諦めかけている部分は少なくない。
しかし、だからこそつい反射的に粋がってしまう。本人が目前にいるので尚更だ。
それは主導権争いを意識したものというより、単に感情の問題だった。
『結論が出た、アイム』と、ジェフリーが端末経由で回答する。『それについては、ゼロが直接お前に話す』
「ゼロが…?」
仮面の天才戦術家の名が出てきた途端、会議室の中で宿敵の存在感が僅かに後退した。ジェフリーと共に、ゼロが難敵との駆け引きをZEXISに有利なものへと導いてくれる。これ程心強い援護があろうか。
『アイム。お前の提案を飲んでやってもいい。但し、ブラスタの使用は不可だ。お前とアリエティスの力だけで異物を取り出してもらう』
「つまり、二重の意味で私を試すつもりなのだ、と」
ヒューとロックオンが口笛を吹けば、『考えましたね』とサンドロックからカトルの声がする。
取引に応じるところまではクロウも読んだが、ゼロの提案は凡人の想像の遙か上をゆくえげつなさを含んでいた。
今の反応を見ただけでも、アイムにクロウとブラスタを確保する意図があったとわかる。天秤座機をその場に持ち出さずともアリエティスだけで異物への干渉が可能な事を、ゼロは看破していたのだろう。
『当たり前だ』と、ゼロが居丈高な物言いでアイムを見下ろしにかかる。『怪植物を操る異界の敵とインペリウム
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