ターン38 変幻忍者と黄昏の隠密
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ターの称号を最も早く手に入れた上忍、SASUKE。その能力は表側守備表示モンスターに攻撃した時問答無用で破壊と、まさに今のゲツガを倒すのにはうってつけの力だ。
忍者マスター SASUKE 攻1800
「バトル、SASUKEで……」
「黄昏忍法、闇月隠れ風!」
SASUKEが両の手にクナイを構え、敵将軍めがけ一直線に走りだす。しかしその脇に控える2体のシンゲツがその4本の手を使って複雑な印を組むと、その名の示す通り新月の闇夜のように辺りが闇に包まれていった。
「これは……?」
「シンゲツはそのモンスター効果によって、自身以外の忍者に対する攻撃を封じ……」
「そこまで聞けば結構です、要は簡易ロックというわけですね?それならば永続トラップ、忍法 超変化の術を発動!私の場の忍者であるSASUKEとシンゲツの1体を素材とし、デッキから上級モンスターを呼びだせば……」
皆まで言うなとばかりに葵ちゃんが発動させようとした、最初のターンにサーチしていた超変化の術。だがそのカードが表になる寸前、闇にまぎれて飛んできた1枚の手裏剣が伏せカードそのものを地面に再び縫い付けた。
「超変化の術が封じられた!?」
あまりといえばあまりに目の前しか見ていない葵ちゃんのプレイングにむしろ悲しげな色すらにじませながら、闇の中から明菜さんの声が響く。
「ちゃんと最後まで聞こうね、葵ちゃん?シンゲツが誘導するのは攻撃だけじゃなくて、カード効果の対象も誘導するの。私のフィールドには忍者モンスターしか存在しないから、攻撃も効果もあらゆる対象にできないの」
「そんな……」
葵ちゃんの声から、さっきまでの空元気すら失われていく。さすがに見ていられなくなってきて、どうせ彼女の耳には届かないことを承知の上でそれでも叫ぼうとしたところで、明菜さんが一足先に口を開いた。
「ねえ、葵ちゃん?」
「なんですか、姉上……私の無様さでも笑いますか?」
「ううん、そんなことしないわよ。だけど今の葵ちゃんいっぱいいっぱいみたいだし、ちょっと深呼吸してごらん?」
「どうしてそんなこと……」
「いいから。お姉ちゃんからの命令ですっ」
不承不承といった様子ながら、言われたとおりゆっくりと息を吸い込んで深々と吐き出す葵ちゃん。それを何度か繰り返すうち、次第に目の光が戻り、その表情からも自棄的な様子が抜けていった。それが分かったのか、明菜さんも満足げな様子で微笑する。
「うんうん、いい顔になったわよー。今カメラがあれば1枚撮って私の宝物にしたいぐらい」
「それは、勘弁してほしいですね」
葵ちゃんも、ついつい苦笑する。でもたとえ苦笑とはいえ、葵ちゃんが笑うところなんて今日初めて見た気がする。
「むー、残念。
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