ターン38 変幻忍者と黄昏の隠密
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こっか?ここまで葵ちゃんが苦手な人なんて、個人的にもちょっと見てみたい気もするし」
「ぜひお願いします」
「嘘っ!?」
絶対断ると踏んでたら、まさかの即答だった。しかもかなり真剣な目だし、いまさらやっぱ無しとは言えんぞこれ。でも他人の家の家庭の事情にはなるべく首突っ込みたくないなあ、この世のあらゆる難しいことは、僕にとっては専門外だし。誰か救いの手でも差し伸べてくれないかと皆を見渡すが、皆すっかり送り出しムードになっている。
「行ってらっしゃい清明、ってさ。風邪ひかないでね?」
「あ、はい」
天使のような笑顔を見せる夢想だけが癒しだった。
「夕飯には間に合うようにな。まさかこの万丈目サンダーに炊事をやれなんて馬鹿げたことは、お前なら言わんよな?」
『万丈目のアニキ、この間目玉焼き作ろうとしてフライパン1つ駄目にしたばっかじゃないの〜』
「イエロー、その話後で詳しく。万丈目、帰ってきたらお話しよっか」
「こ、この馬鹿!あれだけ清明の前では黙っておけと念を押しただろう!」
『痛い痛い痛い、ごめんなさいアニキー!!』
いや、別に正直に言いさえすれば怒るつもりはなかったんだけども。ただ隠し通そうっていうその根性が気に食わんだけで。誰がやったのかわからないのと自首してくるかもしれなかったからしばらく見ないふりしてあげてたけど、なるほど万丈目だったのか。
「どう?ちょっとは落ち着いてきた?」
「……ええ」
日も沈みかかった黄昏時、隣を歩く葵ちゃんに話しかける。相変わらず険しい顔に沈んだ声だけど、ついさっきレッド寮に来た時よりは幾分マシな顔つきになってきている。ここまで来れば、後は本当に本人の覚悟の問題だろう。
「さてと……あれ、まだ来てないのか。わざわざ時間と場所まで指定しておいて……」
そうこうしているうちに、灯台前についた。時計を見ると5時15分前、まあ及第点ということだろう。絶対気圧されるわけにはいかない相手に会うときに、可能な限り相手より先に待ち合わせ場所に行くのは僕の経験上かなり有用な手だ。地の利を得ることができるだけで、不思議なほど安心感がある。相手もあの葵ちゃんが全力で嫌がるほどの人だからそれぐらい抑えているかと思ったけど、さすがに考えすぎだったかもしれない。
「先輩、後ろです!」
『マスター、前方1メートル向けジャンプ!』
ほとんど同時に聞こえてきた葵ちゃんとチャクチャルさんの声に従い、考えるよりも先に勢いよく体を前に飛ばす。着地して体勢を整え、慌てて何が起きたのかと今いた場所を振り返った。
「もー、せっかくびっくりさせようと思ったのにー。初めまして、葵ちゃんから話は聞いているかしら?いつも妹がお世話になってまーす、明菜・クラディーですっ
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