ターン38 変幻忍者と黄昏の隠密
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はとんでもなくスペックが高い。その葵ちゃんを軽く越すレベルが姉にいるとなると、確かにそれはトラウマにもなるだろう。
するとそこで、手紙をじっくり見ていた明日香があることに気づいた。
「あら?でもこの手紙、今日来なさいって書いてあるけど。書いてから届くまで、何日か間があったはずよね。そこは大丈夫なのかしら?」
そういえばそうだ。デュエルアカデミアは孤島にあるから、基本的に本土の方で出した手紙なんかは半月に一度ぐらいのペースでしか回ってこない。リアルタイムで連絡がしたければ、それこそ電話の1つでもかければいいだけだし。
「逆に聞きますが天井院先輩、この手紙はどこから受け取ったものだと思いますか?」
「え?そういえば、まだ手紙が届く日には3日ぐらい……」
「今朝私が起きた時、扉の内側に矢文が突き刺さってたんですよ。間違いなくあの人、もうこの島に来てます。まさかこの私が完全に寝首をかかれるとは思いもよりませんでしたが、あの人ならそれぐらいのことやりかねません」
「矢文って、そらまた古典的な」
「そういう家系ですから。それで先輩、どうしたらいいでしょう?私、本当あの人苦手なんですよ……」
誰が相手でも常に同じような態度で接して個人的な好悪はあまり表に出さない葵ちゃんが、身内というのも多少はあるだろうとはいえここまで苦手意識をむき出しにするような人がいるとはねえ。
でも、これまでの話を聞いて本人の態度を見ているうちに、なんとなく見えてきたことが1つある。要するに彼女は、今誰かに背中を押してもらいたがっているのだ。多分放っておいても葵ちゃんなら、最終的にはその姉とやらのところに時間通りに向かうだろう。それでもやっぱり気は進まないところを、せめてその踏ん切りだけでもつけてもらいたい。本人も恐らく気づいてないだろうけど、心の奥底にある理由をまとめると大体そんなところだろう。
相手がそこらの野郎だったら知らんの一言で叩きだしてもおかしくないことではあるけれど、相手は僕の弟子で、後輩で、そんでもって大切な友人だ。普段から葵ちゃんには世話になりっぱなしだし、できる限り力になってあげたいところというのもある。ここはその役目、引き受けるとしよう。
「なるほどねえ。でも、昔はどうあれ今の葵ちゃんなら大丈夫だと思うよ」
「……そうですかね」
「そりゃそうさ。それに、相手にここまで好き放題やらせておいて逃げ出すなんて葵ちゃんらしくないね。どうやったか知らないけどこの島に上り込んでおいて、うちの店に買い物1つ来ないってところも気に食わないし」
「………」
途中から冗談めかして言ってみるも、彼女から期待したような反応はない。ふーむ、いつもなら毒舌の1つでも飛んでくるタイミングなんだけど。
「なんだったら、僕が途中までついて
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