第十四話「モンド・グロッソ」
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言に対して返答する少女の声が聞こえた。
「あ、おかえりなさい?」
「ああ……へっ?」
俺は、目を点にして室内を見渡した。そこには、本来いるはずもない存在が目の前に立っている。
「や、や……弥生ちゃん!?」
「遅かったですね? どこへ行っていたの?」
「ど、どうして……君が!?」
「あら? 聞いていませんでしたか? ヴォルフさんが転校してきたから止むを得ず私と同室になったんですよ?」
「そ、そうなの!?」
「私とじゃ……嫌、ですか?」
悲しい顔をして俺を見つめる……そんな顔で俺を見るな!! と、激しく首を左右に振り回して否定した。
「ちがう! ちがう!! むしろ、仕方がないさ? それに、もし同室になる女の子なら弥生ちゃんが一番望ましいよ?」
「ほ、本当ですか?」
「ああ、弥生ちゃんは俺たちの仲間だし、お互い良いルームメイトになれるよ! これからも良い友達でいようね?」
「と、友達……ですか」
なぜか、彼女は少しションボリしてしまった。俺、何か悪いことでも言ってしまったのだろうか?
「え、あ……うん」
俺は気まずくなって静かに頷いた。その後、彼女はいつもと変わらない明るい態度で俺に接してくれた。先ほどのことで気にしていないといいのだが……
「狼君、さっきお夕飯を作りましたから一緒に食べましょ?」
「え、いいの!?」
ふいに驚いた俺に、弥生は首を傾げた。
「あ、もしかして食欲がありませんか?」
「い、いや……女の子にご飯作ってもらったのって、初めてだからさ? ましてや、女の子と一緒に飯食うのも初めてだし……」
俺って、学生時代に案外無意識にやっている癖を見らえて、女子に嫌われたことがあった。それが怖くて、あまり女の人と肩を並べて食事をするのは遠慮があった。
「御気になさらなくても?」
「俺、飯食う時って結構行儀が悪いって言われるんだ……相手が女の子と食うと尚更さ?」
「では、私がご指導して差し上げます。作法に関しては自信がありますので」
「じゃ、じゃあ……遠慮なく?」
そこまで言われれば、俺も流石に断ることができず、しぶしぶと彼女が置いた卓袱台に座った。
――き、緊張するな〜……!
期待と不安がよぎりながらも、俺は弥生が運んでくる料理を待った。
「……はい、出来ましたよ?」
しばらくして、彼女は美味そうな温かい食事を皿に盛って運んでくる。
「うわぁ〜 美味そうだ!」
「まずは、手を洗ってきてくださいね?」
手を洗い、うがいも済ませて卓袱台へ戻り、俺は勢いよく「いただきます!」と、叫んだ。
夕食を食べる過程で、弥生に豆知識として作法も教わりながら食事を楽しんだ。
「おお! この肉じゃが凄い美味い!!」
「母から教わった、私の得意料理です」
「へぇ? 弥生ちゃんは凄いよ……料理や家事全般こな
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