第十四話「モンド・グロッソ」
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…あの、お名前だけでも教えてください?」
呼び止め、名を尋ねた。
「俺、織斑一夏って言います! さっきは、本当にありがとうございました!」
目を輝かせ、一夏は白人の侍へ自己紹介する。すると、相手が名乗ったのにそのまま立ち去るのも無作法と、白人の侍は振り向いて微笑みながら己の名を名乗った。
「……ジャックスだ」
「ジャックスさん……助けてくれて、ありがとうございます!」
「ああ……達者でな?」
そして、ジャックスと名乗る白人の侍は風のように去っていった。しばらくして、血相を書いた千冬が、ISで太平洋を横断して一夏のもとへ駆けつけに来たが、時すでに遅く一夏は何者かに助けられていたようだった……
――俺も、いつか……あんな「侍」になりたい!
「……と、いうわけです」
それが一夏の話す過去である。そんな彼の話を聞いていたヴォルフは、一夏が話す「ジャックス」という名の男に聞き覚えがあった。
――ジャックス? はて、どこかで聞き覚えのある名だ。確か、アメリカの……
そんな、ヴォルフの隣で太智は興奮していた。
「カッチョいー!! なぁ一夏、またそのジャックスって言う人と会ったか?」
「ううん? もう会うことはなかったけど、今まで生きてきた中で本気で憧れた人って感じだったな?」
「くぅ〜! 益々カッコいいな?」
「けど、いったいそのジャックスっていう侍は何者だったんだろうな……?」
と、清二がボンヤリと天井を見ながら呟いた。
「すると……ラウラは、一夏が説明した例の世界大会と関係してんのかな?」
俺は、そう推測する。確かにその可能性はあるな?
「千冬公は、その二回目の大会で二連覇することができなかったのか?」
太智が一夏へ尋ねる。
「確か……そうだと思う」
「ラウラってチビが、千冬公を恩師って呼ぶんなら、アイツの決勝放棄に何か関係してんだろ? はっきりとは言えんが、千冬が決勝に出れなかったことで恨んでるとか……?」
ふいにそう呟く太智。
「どっちにしろ、あのラウラは再び君を襲いに来るだろう? 俺も護衛には協力できるが、彼女の抹殺とはいえ暗殺のようなものだ。同胞である君達の前ではともかく、IS側の大衆が目立つところでは派手に身動きは取れない」
そう、ヴォルフは申し訳ないと述べた。
「任しとけ! どんなことがあっても、一夏には指一本も触れさせはしないぜ!?」
と、太智は胸を張って言う。
「はは、よろしくお願いします」
一夏は苦笑いした。
そのあと、俺は一夏達と別れて自室へ向かった。部屋に入るまで、俺は今日転校してきたラウラとヴォルフのことしか考えておらず、室内がどういう状況なのかも、ドアを開けるまでには何も考えていなかったのだ……
ガチャ……
無意識に扉を開いて、俺は「ただいま」を独り言で言うと、そんな独り
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