第六話 士官学校には危険が一杯
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しい。……大丈夫かな?
まあ期間限定の減税、あと四カ月だ。失敗しても来年には元に戻る。この件で俺は財務省の役人から好意的に見られているらしい。それに帝文をとっているからな、連中にとっては半分仲間、兄弟とは言えないが又従弟ぐらいには感じている様だ。軍に飽きたらそっちに進むのも有りだな。その頃にはカストロプ公爵家も断絶しているだろう。
「閣下、如何されたのですか。先程から楽しそうですが」
「いえ、良い季節になったと思ったのです」
ヴァレリーが胡散臭そうに俺を見ている。あのなあ、君は俺の副官なのだよ。なんでそんなに俺を疑いの眼で見るんだ? もうちょっと信頼の眼で見ても良いと思うんだけど。上官と部下、信頼関係が有って当然だろう。もう長い付き合いなんだから。でも七月末だとちょっと暑い。良い季節はおかしかったか。
「授業の内容も変わりましたしね、どんな影響が出るか、楽しみなのです」
うん、少しは視線が和らいだか。シミュレーション対戦を少し変えた。これまでは士官候補生同士の対戦が主だったが新学期からはコンピュータとの対戦を一週間に一度は義務付けている。但し、コンピュータとの対戦は士官候補生側に不利な条件に設定されている。
勝つための戦いでは無く出来るだけ損害を少なくして撤退するための戦闘を学ばせるためだ。教官達が反対するかと思ったが意外にもすんなりと賛成してくれた。シミュレーションならともかく現実では互角の条件での戦闘などそれほど多くない。上手に負ける事も大事、或いは逃げる事も大事だと教える必要が有ると教官達も思っていたようだ。
シュターデンみたいな戦術至上主義のアホが居なくて良かったわ。あいつ、今は二千隻程度の哨戒艦隊の司令官をしているらしい。ラインハルトが宇宙艦隊副司令長官になった時に司令部から追い出されたようだ。ま、良いんじゃないかな。変な作戦を計画されるよりずっとましだ。それに今の宇宙艦隊の正規艦隊司令官は皆シュターデンを嫌っている。宇宙艦隊司令部に居場所は無かっただろう。
生徒達からも反発の声は聞こえない。卒業式で十年間で二割から三割の戦死者が出ると教えたからな。生き残るのは大変だと理解したらしい。実際全ての新米士官が戦場に出るわけじゃない、一生デスクワークに従事する士官もいる。それを考えれば本当の戦死率は格段に跳ね上がるだろう。考えてみれば俺も良く生き残ったよ、原作知識が無かったら死んでいたかもしれない。
シミュレーションの他にも戦略と補給の大切さを理解させたいと思って時々兵站の授業を受け持っている。校長のやる事じゃないという意見も有るがどうしても候補生はシミュレーションでの勝ち負けに拘るからな、シミュレーションの授業に変化を付けた今が一番候補生にインパクトを与える筈だ。戦争の基本が戦略と補給だと認識
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