第五話 才能? 識見? 運? 必要なのは性格の悪さだ!
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帝国暦487年 5月 25日 オーディン 士官学校 ミヒャエル・ニヒェルマン
「凄いな、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯が来ているよ。御夫人方も一緒だ」
「国務尚書リヒテンラーデ侯も居る」
「帝国軍三長官、それに幕僚総監のクラーゼン元帥も居るよ。オフレッサー上級大将、ラムスドルフ上級大将、それに正規艦隊の司令官達も揃っている。宇宙艦隊で居ないのはローエングラム伯だけだ」
「仕方ないよ、伯は今帰還途中だからね」
ローエングラム伯は艦隊を率いて反乱軍討伐に向かったんだけどその途中で反乱軍がイゼルローン要塞攻略に失敗した事を知った。伯は急いで反乱軍を追ったんだけど反乱軍は三個艦隊以上の大軍だったらしい。ローエングラム伯は兵力差がどうにもならなくて撤退した。今オーディンへ帰還途中だ。
「凄い顔ぶれだな、やっぱり陛下が御臨席下さるからかな」
「そりゃそうさ。士官学校の卒業式なんだぜ。陛下が御臨席下さるのに帝国軍三長官が欠席なんて出来るわけないだろう。国務尚書閣下だって来てるんだ」
「そうそう、去年は軍務次官だけだからね、軍のお偉いさんは」
士官学校の食堂には大勢の候補生が集まっていた。スクリーンの前に陣取り大講堂で始まる予定の卒業式を興奮しながら待っている。ここだけじゃ無い、おそらく士官学校の多くの施設で同じように候補生がスクリーンを見ている筈だ。そして興奮しているだろう。でも一番興奮しているのは大講堂にいる候補生達に違いない。今年の卒業生五千三百十二人、そして在校生代表一名が大講堂で卒業式が始まるのを待っている。次に興奮しているのは父兄の筈だ。父兄専用の控室で固唾を飲んで見守っているだろう。今年は七千人程来ているらしい。例年の倍以上だと聞いた。
スクリーンに映る雛壇には来賓の方々のための貴賓席が用意してあった。中央には一際豪奢な黄金張りの椅子が有る。陛下がお座りになる椅子だ。そしてその左には国務尚書リヒテンラーデ侯、帝国軍三長官。クラーゼン元帥、ラムスドルフ上級大将、オフレッサー上級大将。右にはブラウンシュバイク公夫妻、リッテンハイム侯夫妻が座っていた。そしてその後ろに宇宙艦隊の司令官達が前列の方達を守るかのように二列になって座っていた。そして校長閣下も居る。目が眩むほど豪華な顔ぶれだ。
「宇宙艦隊の司令官って恰好良いよな。若くて颯爽としていていかにも宇宙を駆ける勇将達、そんな感じがする」
皆が頷いた。宇宙艦隊の司令官、士官候補生の憧れの的だ。
「今回司令官閣下達が御臨席下さるのは校長閣下と親しいかららしいよ。なかでもミュラー提督は閣下と士官学校で同期生だった、親友だって聞いている」
ヒューと口笛を吹く音が聞こえた。確かに校長閣下の隣はミュラー提督だ。今も二人は何か話をし
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