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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第五話 才能? 識見? 運? 必要なのは性格の悪さだ!
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と帝国国歌の荘重な音楽が響いた。大講堂では全員が起立して頭を下げている。僕達も慌てて姿勢を正して深々と頭を下げた。例え大講堂に居なくても不敬は許されない。僕達は皇帝に忠誠を誓う帝国軍人なんだ。未だ任官していなくても。

国歌が流れ終わり頭を上げると中央の椅子に陛下が座っていた。初めてだよ、陛下を拝見するのなんて。いつもは宮中奥深くにいらっしゃるから僕らとは全く無縁の方だ。その陛下をスクリーン越しとはいえ拝見出来るなんて……。良いよなあ、卒業生は。本当に陛下を自分の目で見ているんだ。これから毎年陛下のご臨席が有れば……。

『定刻になりましたので式を始めます。開会の辞』
あ、多分これシュミット教官の声だ。ちょっと緊張してるな。開会の辞はボッシュ教官か。大丈夫かな、歩き方がちょっと変、がちがちに緊張してるみたいだ。あの人、講義でも緊張するからな、失敗しなければ良いけど。ボッシュ教官が陛下に挨拶をしてブラウンシュバイク公達に挨拶した。そして帝国軍三長官達に、司令官達にも挨拶だ。それから中央の壇に向かった。

『これより第四百八十七回帝国軍士官学校卒業式を行います』
ボッシュ教官の声もちょっと震え気味だ。まあこんな卒業式は初めてだから仕方ないのかな。ボッシュ教官が皆に挨拶をして下がった。
『続きまして国歌斉唱。皆様、御起立を願います』
全員が起立した。僕達も起立して姿勢を正した。音楽が流れる、それに合わせて国歌を歌った。やっぱりいつもと違う、陛下と一緒に歌っているんだ、厳かな感じがした。歌い終わるとシュミット教官が“御着席ください”と言った。

「卒業証書授与式及び御下賜品拝受式」
卒業式で一番の見せ場だ。卒業証書授与、恩賜品授与。卒業証書は成績優秀者二名だけがこの場で陛下から受け取る事が出来る。残りは皆教室に戻って教官から受け取る。そしてこの場で卒業証書を貰った二人は陛下から褒賞品を貰う、恩賜の品だ。

成績優秀者の名前が呼ばれた。アルフォンス・ネッツァー、ゲラルト・フォン・オルブリヒト。首席卒業はアルフォンス・ネッツァーだ。聞くところによると統帥本部作戦二課に配属されるらしい。二人が雛壇に上がった。既に陛下は席を立ち二人を待っている。陛下の斜め後ろには校長閣下が卒業証書と恩賜品を賞状盆に入れて待機していた。

「今年は短剣か」
「去年は時計だったね、その前は万年筆だった」
「俺だったら短剣よりも時計か万年筆の方が良いな、実用的だ」
「冗談よせよ、恩賜の品は飾りだろう。失くしたらどうするんだ」
“そうだ、そうだ”と同意の声が上がった。恩賜の品を紛失したらとんでもないことになる。ということで実際に持ち歩く事はない。大体は家に置いておく事になる。それを見て楽しむのが家族の仕事だ。

「ヴァレンシュ
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