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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第五話 才能? 識見? 運? 必要なのは性格の悪さだ!
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ている。

「皇帝陛下の御臨席は御当代フリードリヒ四世陛下の御代では初めての事だってさ。前回は五十年以上前、先帝オトフリート五世陛下の御代になるらしい」
誰かがまた口笛を吹いた。不敬罪になるのかもしれないけど誰も咎めなかった。
「それもヴァレンシュタイン校長閣下が双頭鷲武勲章と引き換えにお願いしたから実現したんだ。それ無しでは無理だったよ」
「凄いよな、双頭鷲武勲章を断っちゃうなんて。双頭鷲武勲章だぜ? 俺には無理だな」
彼方此方から“俺も無理”、“俺も”という声が上がった。誰かが“俺なんて貰う事も出来ないよ”というとドッと笑い声が上がった。確かにそうだ、そんな簡単に貰える勲章じゃない。

「知ってるか? 今回決まった捕虜交換も元々は校長閣下の発案らしいぞ」
「本当か、それ」
「ああ、兄貴が言ってたよ。俺の兄貴は軍務省の官房勤務なんだ。間違いないね。時々閣下は帝国軍三長官にレポートを提出しているらしいよ。捕虜交換はそれを基に軍務省で起案して政府に提出したんだってさ」
彼方此方から“スゲー”って嘆声が上がった。本当に校長閣下は凄い、僕なんか溜息しか出ないよ。

先日、帝国政府から反乱軍との間で捕虜交換を行う事を決定したと放送が有った。既に反乱軍とはフェザーン回廊を使って捕虜を交換する事が決まっているらしい。これから捕虜交換の準備にかかるのだとか。皆がその事を喜んでいる。僕の同期生にも親族が捕虜になっている人が居る。早く実現して欲しいよ。

「良いよな、今年の卒業生は。こんな風に祝って貰えるなんて。俺達の時はどうなるのかな」
皆が顔を見合わせた。困惑している。
「ヴァレンシュタイン校長閣下に期待しよう」
誰かが言うと何人かが“そうだね”と曖昧に頷いた。分かっているんだ、今年が特別だって事は。校長閣下が無理をして実現してくれた。来年以降は例年通り軍務次官の臨席だけで終わりだろう。確定ではないけどその可能性が高い、そして残念に思っている。寂しいよ。

「幼年学校は明日か」
「うん、明日だ。幼年学校は得したよね」
皆が同意の声を上げた。士官学校の卒業式に陛下が御臨席されると決まって幼年学校側も自分達の卒業式にもと陛下に頼み込んだらしい。卒業生の父兄からかなり突き上げられたようだ。陛下は士官学校だけを優遇する事が出来ず幼年学校にも御臨席される事になった。ヴァレンシュタイン校長は双頭鷲武勲章を辞退して士官学校卒業式への御臨席を得たのに幼年学校は何の代価も払っていない。皆が得をしたと言っている。

古風なラッパの音が大講堂に流れた。
『全人類の支配者にして全宇宙の統治者、天界を統べる秩序と法則の保護者、神聖にして不可侵なる銀河帝国フリードリヒ四世陛下の御入来』
始まった! 式部官の声
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