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真田十勇士
巻ノ二十三 箱根八里その六

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「そして温めた方がよい」
「冷やすよりもですな」
「温めた方がよい」
「そうなのですな」
「無論温め過ぎてもよくない」
 それはそれでともだ、幸村は言った。
「冷え過ぎたら風邪をひき熱過ぎたら倒れるな」
「はい、どちらもどちらで」
「過ぎるとです」
「そうなってしまいます」
「そういうことですか」
「そうじゃ、程々であるべきじゃが」
 それでもというのだった。
「どちらかというと温めた方がよい」
「身体はですな」
「そうあるべきですな」
「だから風呂もですか」
「よいのじゃ。この湯にしても蒸し風呂にしてもな」
 どちらもというのだ。
「汗もかくしな」
「そういえば汗をかきますと」
「その後随分気持ちよくなりますな」
「何か身体から毒が抜けた様な」
「そうしたものになりますな」
「そうなのじゃ、実際にな」
 その汗をかくこともよいと言う幸村だった。
「だから風呂はその意味でもよいのじゃ」
「汗もかくからこそ」
「そのこともありですか」
「風呂はいい
「左様ですな」
「そうじゃ、風呂は出来るだけ入るべきじゃ」
 今の様にというのだ。
「ではこれからも入られる時ならばな」
「入るべき」
「左様ですな」
「そして身体を奇麗にし温め」
「汗もかくべきですな」
「そういうことじゃ、そして拙者は一人で入るのも好きじゃが」
 それでもとだ、幸村は家臣達を見回して笑って述べた。
「こうして大勢で入るのも好きじゃ」
「では我等はですか」
「これからもですか」
「こうしてですか」
「共に入ってもいいのですか」
「殿と」
「こうした場ではそうしようぞ」
 温泉や大きな風呂ではというのだ。
「これからもな」
「畏まりました」
「ではこれからもです」
「殿と共に風呂を楽しませてもらいます」
「この様に」
「そうしようぞ、では今日はここの宿で一泊じゃ」
 この日のこともだ、幸村は話した。
「そしてじゃ」
「伊豆、そして相模」
「そう進んでいきますな」
「そうする、当然鎌倉にも寄る」
 この町にもというのだ。
「よいな」
「はい、では」
「鎌倉にも行きましょうぞ」
「幕府のあったあの場所にも」
「是非共」
「鎌倉はよい場所と聞く」
 幸村はその鎌倉についても話した。
「景色もよいし守るにも適しているという」
「ああ、あの町はですな」
「三方が山で残るは海」
「では、ですな」
「守るに適していますな」
「そうしたところも見ますか」
「そうする」 
 こう家臣達に言うのだった。
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