6話
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皆が寝静まった頃、彼は1人で空を見上げていた。少しだけ眠れず、外に出ていたのだ。
「…」
「何か、考え事?」
その声を聞き、彼女の方を見る。声をかけてきたのはフェイトだ。一瞬だけそちらを見るが、もう一度空を見上げる。
「…眠れなかっただけだ。」
「もしかして疲れた?」
「疲れていたらもう既に寝ている」
「それもそっか」
彼は隣に来たフェイトにふと目をやると、その綺麗な姿に目を奪われた。月の光にあたって、彼女の金色の髪が輝いて見え、その整った顔立ちはお伽話に出てくる姫のようだ。しばらく見つめていると不意に彼女がこちらを向いた。
「ん?どうかした?」
「…いや。すまない、フェイトに見惚れていた」
彼は素直に答えた。
「ふぇ?見惚れてたって…」
「そのままの意味だ。君が綺麗だから見惚れていただけだ」
彼女は顔を赤くし、俯いてしまった。彼はそんな彼女を見て、こういうところは変わっていないなと感じていた。昔もこうやって何かを褒めた時には赤くなって俯いていたものだ。と。
しばらく2人揃って空を見ていたが、彼女が不意に切りだした。
「ねぇ…白夜。白夜はどうして、管理局と…私達と敵対したの?」
彼女の真剣な目を見た彼は、同じく彼女の目を見つめ返す。
「…オレは様々な世界を見てきた。その世界で出会った人々の中には管理局の実験や悪行から消された人達や、その家族がいた。…中にはオレが出会った時には既に死にかけの人だっていた。」
フェイトは驚き、信じたくないと言った様な顔をしている。
「彼らはそれでも必死に生きていた。自身の存在を否定されようとも、いないものとして扱われようとも、彼らなりに生きていたんだ。」
「生きていた?」
「あぁ。彼らは管理局の闇に消されたよ。ただ生きているだけだった。確かに、それぞれ管理局に恨みはあったが、復讐や公表しようとする人はいなかった。ただの人間として過ごそうとしてる人を殺したんだ」
彼女は驚きを隠せなかった。自分たちが正義の組織だと信じていたモノが、1番大事な人に否定された。
「そんなときだった。オレはある1人の少女に出会った。その子も実験の被害者でな、長くは無かったんだ。オレはその子と仲良くなってな、彼女が入院してからも彼女のところへ通い続けた。そんなある日彼女がオレに言ったんだ。」
ーーーもし、本当の弱い者の味方がいたら、こんな辛い思いしなくて…死なずに済んだのかなぁ…。私も、普通の女の子として生きたかったなぁ…ーーー
「だからオレはその子に約束をした。」
ーーーならば、オレがなろう。全ての人を救える正義の味方に。弱い者を助ける本物の正義の味方になって
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