第四話 頼まれると嫌とは言えないよね
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よ?」
ヴァレリーの場合は性的な部分で危険が有った。だから彼女も亡命を受け入れた。しかしシェーンコップ達は男だ。命が危険だからと言って亡命を受け入れるとは思えない。リューネブルクも分かっているのだろう、苦しそうな表情をしている。
「……難しいとお考えですか?」
そんな縋る様な目をするな、リューネブルク。少し苛めたくなるじゃないか。
「難しいでしょう。彼らを説得するのも軍上層部を説得するのもです。彼らは既に一度亡命しています。自らの意志で逆亡命するのならともかく中将に説得されてでは軍上層部を納得させる事は難しいと思います」
「……」
返事が無い。リューネブルクもその事は分かっているだろう。自発的に逆亡命してさえ三年間戦場に出る事は無かったのだ。それほどまでに亡命者というのは信用されない。何処かで疑いを持たれる。
「帝国に受け入れる事を考えるのではなく向こうへ還す事を考えた方が良いと思いますね」
「しかし、そんな事が可能でしょうか? 捕虜を還すなど」
リューネブルクとヴァレリーが顔を見合わせた。二人とも訝しげな表情をしている。
「ローゼンリッターだけを助けるというのは難しいでしょう。特別扱いは出来ない」
「……と言いますと?」
とうとうヴァレリーが参戦した。
「捕虜全員を還すのです」
「捕虜全員……、交換、ですか」
その通りだ、リューネブルク。なかなか鋭いじゃないか。
「期末試験が終わったら帝国軍三長官にレポートを出す事になっています。そこで捕虜交換を提案してみましょう」
アルテミスの首飾りはその次のレポート提出にお預けだ。リューネブルクがウンウンという様に頷いていたが俺に視線を向けてきた。
「上手く受け入れられるでしょうか?」
「それは分かりません。ですがシェーンコップ大佐達を説得するよりは良いと思います。軍上層部も受け入れやすいでしょうしシェーンコップ大佐達が負い目を持つ事も無い」
「そうかもしれませんな」
リューネブルクが頷いた。恩着せがましくするのはリューネブルクも望むところではないだろう。
「帝国は約二百万の捕虜を抱えています。反乱軍も同様でしょう。それが戻って来るとなれば軍の編成にも余裕が出ます。それに捕虜交換が実現すれば政府に対する平民の不満も軽減出来る、その辺りを指摘すれば……」
「なるほど」
リューネブルクがウンウンと頷いていたが俺を見て不敵に笑った。らしくなって来たじゃないか。可愛げが消えたぞ。
「リヒテンラーデ侯を捲き込むのですな」
「その方が良いでしょう。軍としても動き易い筈です。授与式で陛下にお願いするという手も有りますがそれをやると陛下を利用して政治、軍事を動かしていると周囲の反発を招きかねない」
リューネブルクとヴァレリ
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