第四話 頼まれると嫌とは言えないよね
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な人と親しくて。
「相談に乗って欲しい事が有るのです。校長室に行ったら図書室だろうとフィッツシモンズ少佐に言われましたのでね」
校長閣下がニコニコしている。嬉しいのかな。
「迎えに来てくれたのですか」
「ええ」
「分かりました」
それを機に閣下は僕達に“じゃあ”と言って図書室を出て行ってしまった。残念、作戦の事を色々聞きたかったのに……。それにしてもリューネブルク中将が危険だなんて全然気にしていないんだな。
帝国暦 487年 4月 28日 オーディン 士官学校 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
リューネブルクと共に校長室に戻るとヴァレリーがお茶の準備をして待っていた。応接用のソファーに坐ると俺にはココア、リューネブルクにはコーヒーを出してくれた。
「双頭鷲武勲章を授与されるそうですな、おめでとうございます」
「有難うございます。それで頼みとは」
お互い暇じゃない、それに俺と会うと憲兵隊や情報部にチェックされる。会っている時間は短い方が良いだろう。挨拶も早々にここに来た理由を促した。リューネブルクも分かっている、一つ頷くと話し始めた。
「反乱軍のイゼルローン要塞攻略は失敗しました」
「ええ」
ちょっと驚いたよな、この時期にイゼルローン要塞攻略なんて。思ったより同盟は追い詰められているようだ。それに動員したのは半個艦隊じゃない、三個艦隊は有ったと聞く。ラインハルトは危なかった、一つ間違えば同盟の物になったイゼルローン要塞に突っ込むところだった。かなりの損害を受けただろう。
「要塞内に兵を送り込んだそうですが捕虜になった」
「そのようです」
なるほど、なんとなく分かった。
「その捕虜を助ける事は出来ませんか、捕虜はローゼンリッターなのです」
「……シェーンコップ大佐ですか」
「はい」
常に不遜さを漂わせているリューネブルクが切実さを出している。らしくないが人間的には可愛げが有る。ヴァレリーを見たが彼女も同様だ。心配なのだろう。
「難しい事は分かっています。反乱軍の兵士、まして亡命者を助けるなど通常なら不可能。しかしヴァレンシュタイン中将なら……」
「……」
ローゼンリッターでは反逆者、裏切者として処刑される事も有り得るだろう。運良く捕虜収容所に入ってもあそこは劣悪な環境だ。ローゼンリッターは帝国だけではなく同盟でも受けが悪い、生きていくのは至難だろう。
「軍上層部に掛け合って頂けませんか。彼らを帝国軍に迎え入れると。フィッツシモンズ少佐の例もあります」
「説得するというのですか?」
「はい。味方になれば心強い男達です」
「中将の気持ちは分かりますがシェーンコップ大佐達がそれを受け入れると思いますか? 彼らは男です
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