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銀河英雄伝説〜其処に有る危機編
第三話 監視? 護衛? 鬱陶しいのは変わらない
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断出来ます」
「ミュッケンベルガー元帥の言う通りです。こうなりますと反乱軍が次に何を考えるか……」
シュタインホフ元帥の発言にリヒテンラーデ侯がまた顔を顰めた。
「要塞を造り出すというのだな、卿らは」
「いずれそういう時が来るかもしれません」
リヒテンラーデ侯が私を睨んだが何も言わなかった。侯も同じ事を考えたのかもしれない。

リヒテンラーデ侯が恐れているのは反乱軍が辺境星域に侵入する事だ。帝国の辺境は長い戦乱の所為で放置されたままになっていて極めて貧しい。その所為で中央に対して強い反感を持っている。もし要塞が失われ反乱軍が辺境星域に侵入する事になったらどうなるか……。辺境星域は反乱軍に同調するかもしれない。イゼルローン要塞陥落は軍人だけではない、政治家にとっても悪夢なのだ。

「それで、ヴァレンシュタインは如何するのだ? 昇進させるのか?」
「士官学校校長になって未だ三カ月も経ちません。昇進、異動は避けるべきだと思います。統帥本部総長、司令長官も同意見です」
リヒテンラーデ侯がジロリとシュタインホフ、ミュッケンベルガー元帥に視線を向けた。
「軍務尚書、では勲章だな」
「はい、双頭鷲武勲章を」
「まあそんなところだな」
三度リヒテンラーデ侯が鼻を鳴らした。



帝国暦 487年 4月 26日  オーディン  士官学校校長室  エーリッヒ・ヴァレンシュタイン



『そういう訳で卿には双頭鷲武勲章を授与する事になった』
「はあ」
『なんだ、勲章では不満か?』
「いえ、そうでは有りません。そのようにお気遣い頂かなくてもと思いましたので……」
そんな不機嫌そうな表情で言われても素直には喜べません。と言いたかったがこれも宮仕えの悲しさだ。正直には言えない。

『そうはいかん。信賞必罰は軍のよって立つところだ。功を挙げた以上、それを賞するのは当然の事であろう』
「はあ」
だったらもっと嬉しそうに言ってくれ。だいたい俺みたいな若造が双頭鷲武勲章なんて貰っても誰も喜ばないのは分かっている。
『来月三日に授与式を宮中黒真珠の間で行う。後で典礼省より連絡が有る筈だ』
「……分かりました」
面倒だな、そういうのが一番嫌いなんだけど……。

「閣下、小官の監視は何時まで続くのでしょうか」
あ、表情が渋くなった。でもね、不自由な想いをしているのは俺だぞ。
『監視だけではない、護衛も兼ねている』
「……そうは言われましても」
どうみてもメインは監視だろ。俺を監視してどうすんだよ、意味ないぞ。心の中で毒づいてみた。少しは気が晴れた。

『今回の件で卿の重要性はより高まった。護衛はこれからも続ける』
「……」
立場弱いよ、皆と酒飲むのも駄目って言われた
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