第一話 世は全て事も無し
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伯爵家を継いで上級大将に昇進、宇宙艦隊副司令長官に就任した。本当は毎日が楽しくて仕方ないんじゃないかな。機嫌が悪いのは多分照れ隠しだろう、気にする事は無いさ」
あれ、今度はミュラーだけじゃなくてヴァレリーも一緒に溜息を吐いている。なんで二人ともそんな恨めしそうな目で俺を見るんだ。
『本気で言っているわけじゃないよな?』
「いいや本気で言っている。気にする事は無いよ。例えローエングラム伯の機嫌が本当に悪くても卿の所為じゃないからね」
『……』
ついでに言うと俺の所為でもない。
「不満が有るなら帝国軍三長官に言えば良いんだ。あの人達が決めたんだから」
『……伯はそうは思っていないぞ。卿が仕組んだと思っている』
「被害妄想だな、私は関係ない」
被害妄想だ。悪いのは帝国軍三長官とリヒテンラーデ侯で俺じゃない。俺は人事に介入する程偉くは無いんだ、ただ自分の昇進は受けられないと言っただけだ。ラインハルトを陥れようとした事など無い、結果的にそうなったとしてもな。だからミュラー、ヴァレリー、そんな目で俺を見るんじゃない。俺は詐欺師でもペテン師でもない。俺には疾しい事は無い。
「それで、何の用だ。正規艦隊司令官になってそっちこそ忙しいんじゃないか。私に愚痴を零している暇は無いだろう。まあ愚痴を聞いてくれと言うなら聞くけど」
『いや、そうじゃない。ちょっと困った事が有ってね、相談に乗って欲しいんだ』
「私で力になれるならね」
『艦隊の編成が上手く行かないんだ。中央に伝手が無いからな、司令部は何とかなったんだが分艦隊司令官が足りない。誰か良い人間がいないかな?』
弱り切った表情だ。なるほどなあ、非主流派だから人集めは苦手か。心当たりは有るが……。
「良いのか、私なんかに相談して。ローエングラム伯が嫌がるぞ。先ずは伯に相談したらどうだ?」
『駄目だよ、ローエングラム伯にそんな余裕は無い。伯自身艦隊の編成が終わっていないんだ。俺達が抜けたからね、その後任者が未だ見つからない。総参謀長も決まっていないし宇宙艦隊司令部は半身不随の状態だ』
ミュラーが肩を竦めた。お手上げ、そんな感じだな。
「酷いな、ミュッケンベルガー元帥は?」
『艦隊編成は好きにやれと言って静観しているよ。御手並み拝見、そんなところかな』
「……分かった。心当たりは有る。少し時間をくれないか」
『頼む』
「それとこの件は内密に頼む。ローエングラム伯を必要以上に刺激する事は無いからね」
『勿論だ』
通信を切った。ヴァレリーが心配そうな顔をしているのが分かったが敢えて無視をした。安請け合いして大丈夫なのかと思っているのだろう。大丈夫だ、俺には原作知識という強い味方が有る。ヴァルヒ、シュナーベル、ハウシルド、だった
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