1部分:第一章
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「そうね。幸枝の守備はね」
幸枝の守備について話す。
「それでいいと思うわ」
「いいの」
「もっと動きがよくなれば余計にね。ただ」
「ただ?」
「バッティングだけれど」
由紀子が幸枝に言うのはこのことだった。
「流し打ちとか勉強してみたら?」
「流し打ち?」
「そうよ。幸枝が二番バッターじゃない」
実は彼女はチームでは二番バッターなのだ。ちなみに由紀子は五番である。一発長打を狙うことでは定評がある。そんなタイプのバッターだ。
「だから。流し打ちとかそういう技をね」
「身に着けろってことなのね」
「そうよ。どうかしら」
「そうね」
由紀子の言葉を聞いて少し考える顔を見せてきた。
「流し打ちね」
「幸枝器用だから多分いけるわ」
「実はスイッチヒッターになろうかなって考えてたのよ」
ここでこのことを由紀子に告げた。
「右ピッチャーには左、左ピッチャーには右ってね」
「それ考えてたの」
「そうなのよ。けれどどうかしら」
「それも悪くはないけれど」
一応は認めて頷くがそこには言葉が続いていた。
「難しいわよ、あれは」
「わかってるわ」
「一兆一夕に身に着けられるものじゃないし」
「ええ」
「それはどうかしら」
あらためてこう言う由紀子だった。
「スイッチヒッターは。それに幸枝特に右でも左でもどっちでも苦労していないじゃない」
「そう?」
「そうよ。別にね」
このことも幸枝に対して話した。
「苦労してスイッチになるよりはね」
「流し打ち?」
「どうかしら」
そのことを尋ねるのだった。
「勉強してみたら。どう?」
「そうね。それじゃあ」
幸枝もまた由紀子の言葉に頷いた。
「やってみるわ、流し打ちね」
「そうして。守備は別にいいから」
「守備はいいの」
「動きも肩もいいじゃない」
それはいいのだった。少なくとも由紀子は彼女の守備には何の不満もないのだ。
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