暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
Fate/stay night
1184話
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困る。

「持ってきたぞ。それで、どうやって構えればいいんだ?」

 小太刀くらいの大きさの竹刀を両手に持った衛宮が、そう尋ねてきた。

「自分でこれだと思える構え方を見つけるしかないな。ただ、あくまでも俺の考えだと……」

 エミヤの構えていたシーンを思い出しながら、衛宮に指導する。
 どっしりと、自分から攻めるというよりは待ち受けるといった構え。
 まぁ、アーチャーだけあって弓がメイン武器だった筈なんだから、そこまで二刀流に対して拘りはなかったと思う。
 もっとも、実際にはランサーと戦う時にも見た通り、二刀で戦うのが多かったが。

「こう、か? うーん、確かに何だかピンと来るような、来ないような……」

 呟きながら両手に持った竹刀をそれぞれに動かす。
 うん、こうして見ても、確かに衛宮に剣の素質があるとは思えない。
 それに関しては、俺から見ても明らかだ。
 それでも人間の努力というのは凄いもので、この衛宮が最終的には英霊になれる程の力を持つんだから驚く。
 暫く衛宮の様子を見ていた俺だったが、いつまでもこうして見ているだけというのもつまらない。
 たんぽ槍を構え、衛宮と向き合う。

「ほら、行くぞ。構えろ」
「え? おい、本気か? 俺はまだこの二刀流の使い方もよく分かってないんだぞ!?」
「習うより慣れろって言うだろ」

 その言葉と共に、大分力を抜いた一撃を放つ。
 速度はそれ程でもなかった為に、衛宮は右手に持った方の竹刀でたんぽ槍の穂先を弾く。
 普通であればここで左手の竹刀を振るうのだが、まだ慣れていない衛宮にそんな事が出来るわけもなく……

「痛っ!」

 弾かれたまま横殴りに振るわれたたんぽ槍の穂先が、衛宮の胴体を打つ。
 勿論加減をしている以上、そこまで痛い訳ではない。

「くそっ、もう1度だ!」

 そうやって振るわれる二刀。
 だが……

「ほう、シロウはどうやら私が教えた剣よりも、アークエネミーの剣の方が性に合っているようですね」

 綾子とのやり取りを終えたセイバーが、衛宮の後ろで冷たい笑みを浮かべてそう告げていたのだった。
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