6部分:第六章
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れてくれたの」
「時間あったからよ」
また静かに、淡々と皆に話す。
「だから作ったのよ」
「時間があるからってそれでもあんたがって」
「全然信じられないんだけれど」
「そうなの」
皆は相変わらず驚いたままだ。しかし彼女の顔は違っていた。表情を変えずそのまま返すだけだ。まるで何でもないようにである。
「とにかく。よかったら飲んで」
「よかったらなの」
「ええ。飲んで」
その言葉の間にもコップの一つ一つにジュースを入れていく。透明のガラスのコップの中に黄色とオレンジが合わさった純粋なオレンジジュースの色が注がれていく。
皆戸惑いながらもそのカップを手に取って。そのうえで飲んでいく。そのジュースは確かに美味く喉を潤すものだった。
これだけではなく皆は彼女のそうした行いを受け続けた。皆そんな彼女を見て行動を受けてその評価を次第に、だがかなり変えていったのだった。
「優しくなった?」
「っていうか気遣いができるようになった?」
皆首を傾げながら言い合うのだった。
「だからああしたふうになったのかしら」
「そうなのかもね」
実生がいない部室の中で皆集まって話をしていた。ロッカーが並ぶその部室の机を囲んで座りそのうえで話し合っていた。それも真剣な顔で。
「入院してからだけれど」
「そこで何かあったみたいね」
「それで変わったのね」
これはまさにその通りだった。しかしその内容まではわからなかった。
「それであんなふうになったのね」
「今までつんつんして自分だけでやってたのに」
「今じゃね。私達に色々と優しくしてくれるしね」
「変わったわね、本当にね」
「いいふうにね」
変わったのは間違いなくそうしてそれはいい変わり方だった。彼女は確かに変わりそれは走られるようになってからもであった。
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