参ノ巻
抹の恋?
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振る舞いとか、全てにおい、ッ!」
あたしはみなまで言わせず、惟伎高の足をおもいっきり踏んづけた。
ふん。じゃじゃ馬で悪うござんしたね。女らしさとはほど遠いなんてこと、こちとら百も承知なのよ。
「本気の返事はいらないのよ。お解り?」
低い声でにっこり笑うと、ふと足下を照らす日に気づき、あたしはくるりと抹を振り返った。
「時間も無いことだし、こんな下らないことで巫山戯てる場合じゃなかったわね。でも、一つ部屋に閉じ込めるって言う惟伎高の案もまぁ確かに一理なくもないわ。密室は流石にダメだけど、あんた、できるだけ多くの時間、高彬のそばにいて、自分を売り込んできなさいよ」
「…どうだ?」
「…ダメ、何にも聞こえない」
「やっぱり、ちょっとここからじゃ遠かったかァ?」
あたしと惟伎高はボソボソと囁きあった。目線の先には、濡れ縁で池と桜を眺める抹と高彬がいる。時折口が動いているところを見ると、どうやら何か談笑しているらしい。
その二人の様子は、桜が散る背景も相まって、なかなか良い雰囲気に見える。
「…なんか、あたしが妙な横やりを入れなかった方が良かったのかしら…」
そう言うと、突然頭にずしりと重みがかかる。乗っているのは、惟伎高のヒジだった。
「…まァ、おまえなりに良かれと思ってやったことだァろ?切っ掛けがなければ抹も高彬とこうして話すことは無かったァさ」
そしてぽんぽんと慰めるように頭のあたりを叩く。
ふん。優しいバカ坊主め。
とりあえずあたしは礼のかわりに軽く頭突きをかましてあげて(「なんでだよ!?」と言う声が聞こえた気もするが、気のせいだろう)、再び縁に佇む二人に向き合った。
「…それにしても距離が遠くない?」
あたしは唇を尖らせて言った。いや、肩を並べて仲良くとまでは望まないにしても、二人っきりでいるのにその距離は一畳ほどもあり、双方の明らかな遠慮が見て取れる。
あの距離、どうにかしたいわよね。
あたしが懲りずに策を練っていると、突然上からため息が聞こえた。
「…なに?ため息なんてついて」
「いや?おまえが抹と高彬をくっつけようとするのは本心かと思ってな」
「…何で?本心よ?」
むしろ何故惟伎高がそう言うのかわからない。あたしが見上げると、ちょうど惟伎高もこちらを見下ろしていた。その瞳の深い色に、思わずあた
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