参ノ巻
抹の恋?
2
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しく扱いなさいよっ!か弱い乙女をっ!」
「か弱い、乙女、ねェ…」
惟伎高はため息をつくと、あたしが重そうに抱えていた抹をひょいと肩に担ぎ上げる。
「あああ、もっと優しくしなさいったら…」
「う…」
その衝撃でか、抹が呻いた。
「抹!大丈夫?」
あたしはゆっくり畳に下ろされた抹に顔を近づける。抹は瞳を開き、自分の現状を把握するようにぼんやりと瞬きを繰り返す。
「あ…尼君様…私は…私は一体何を…」
「ワタクシ!なんてステキな言葉なのっ!あああ、抹っ!良かった正気に戻って!あたしそのままの抹が好きよっ!変なことさせて、ごめんねっ!」
あたしは感動の余り抹をむぎゅっと抱きしめて頬ずりせんばかりに喜んだ。途端、「あああああ、尼君様ッ!?」という声とともに突き飛ばされてしまったけれど、むしろその反応に安心した。ああ〜良かった。これぞ抹よ…。
「で、何でこんなことになってェるンだァ、ピィ?」
「え?えー…っと…」
抹が高彬を好き、ってのはバラしてしまっていいものだろうか。でも高彬の兄である惟伎高を味方につければ百人力なんだよなぁ〜。なぜなら、今回もし高彬を落とせなくても、兄弟という繋がりがあれば、長期戦で腰をじっくり据えて対応できる。
よし。断定は避けて、あたしの推測ってことで言えばいっか?
「抹が高彬のこと、好きそうに見えるから、協力してあげてるの」
あ、やばいあんまり隠せてない。結構な直球を投げてしまった。
「はァ!?」
惟伎高は珍しく本気で驚いたようで、勢いよく抹を振り向いた。しかし抹はぶるるるるると残像が残る程のもの凄い勢いで首を振ってる。それを見た惟伎高は脱力したようにはー…と溜め込んだ息を吐いた。
「…ピィ、おまえ、驚かせるなァよ…俺としたことが、一瞬本当にそうかと思ッちまったァぜェ…」
「だから、本当にそうなんだって!抹はああやって否定してるけど、あの子が高彬のこと知りたいって、男性に興味もってるのよ!?もうそれは、恋でしかあり得ないでしょ!?」
「コイ、恋ねェ…」
惟伎高は一瞬だけ無言になってから、不意ににっこりと爽やかに笑った。石山寺の座主庵儒として抹に接していた時のようなうっさんくさい笑顔だ。
「いやそうだな、恋、だな!そうかァ、抹が高彬を好きなのかぁ。それは、協力するしかねェなァ」
「…なんなの、その棒読み…気持ち悪いんですけど…」
「いやいや、疑って悪かった。抹にもこ
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