参ノ巻
抹の恋?
2
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「ピィ、なにをどたばた……………………………おい、何がどうなった?」
ちなみにあたしは宇宙語を叫ぶ抹をそっちのけで大分前から部屋の隅っこで頭を抱えている。
ま、間違ったな。方向。思い切り…。
どう考えてもこれで高彬が釣れるとは思わないし、そもそもあたしに似ても似つかないぞ、コレ…。
「あ、あのう〜…抹…抹さん?お目覚めになって?抹さん?」
あたしはゴクリと唾を飲み込むと、何かに憑依されたとしか思えない抹に恐る恐る声をかけた。
大分ささやかな声だったはずなのに、抹の動きがぴたりと止まる。それはもう、時が止まったかのように。
あたしはひっと息をのんだ。
惟伎高がカニのような横移動で抹を刺激しないよう、そんなあたしに躙り寄ってくる。
「おまえ、何した」
惟伎高の声はどうせおまえが何かやったんだろうと決めつけるように強い。失礼な。でも今回は冤罪でもないので、言い返すあたしの声も至極弱々しい。
「い、いや、ちょっと、抹の言葉使いがね、かたっくるしすぎるかなー?と思った末の善行よ」
「善行」
「う…。抹がどんどん真似してくれるから、調子に乗って、ちょこーっとだけやり過ぎたかもしれないけど…」
「ちょこっとか。これがァ」
固まった姿勢のまま、いきなり『セイ!YO!』と叫んだおしとやかさの原型すら留めていない抹を見て、惟伎高は顎をしゃくった。
「う…ま、まぁ、少し?」
「少し?」
「た、多少…?」
「多少?」
「嘘ですかなりあたしのせいですゴメンナサイ」
「素直で宜しい」
惟伎高はあたしの頭にぽんと手のひらを乗っけると、抹に体を向けた。
「あんまり慣れねェことばっかさせンじゃねェぞ」
「肝に銘じます…」
「良ォし」
惟伎高はゴキリと拳を鳴らすと、そのまま目にも止まらぬ速さで抹の首筋に手刀を叩き込んだ。
「きゃああ何するの!」
まさか惟伎高が抹に乱暴狼藉を働くとは思っても見なかったので、あたしは口に手を当てて叫んだ。
抹が気を失ってふらりと倒れかけたところを慌てて支える。
「アホっ、惟伎高!抹の玉の肌に傷がついたらどう責任とるつもりよっ!」
「あのまま吠えさせとくわけにもいかねェだろォが。それにかなり手加減したかァらすぐに気がつく」
「あのままにしておけない、ってのには同意するけど、もっと優
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