暁 〜小説投稿サイト〜
戦国御伽草子
参ノ巻
抹の恋?

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あたしは抹としっかり向き合った。



「けど!筋肉とか、鍛え方とか、ちょっとイキナリぶっ込みすぎなんじゃない!?いや、抹が緊張してたのもわかるし、本当に筋肉趣味(フェチ)なのかもしれないけど!でも、高彬は見たまんま真面目の純真培養ですみたいなヤツだから、ああいうテでいくのならちょっとこの先厳しいわよ。待って、あたしももっと真剣に考えるわ。多分高彬なら…」



 高彬なら、風が吹けば折れそうな庇護欲を誘う風情がいいのかもしれない。



 そう考えたとき、晴天の霹靂のようにあたしに一つの考えが舞い降りた。



 いや、ちょっと待って!?一回、抹にあたしを真似させてみるのはどうだろう!?押してダメなら引いて見ろ、ってね。チョット違うか?でも試してみる価値ありかも!



 あたしはぽんと手を打ってぐぐいと抹に近寄った。抹が怯えたように身を引く。失礼な。あたしは構わず、至近距離で抹を追い詰めるとにっこりと笑った。



「抹。ちょっと『へいへ〜い』って言ってみて」



「え…」



 抹の顔が歪む。唐突すぎて、あたしの発言の意図が掴めないのだろう。



 しかも良く考えたらあたし私生活でも別に「へいへ〜い」なんて使ったことないわ。でも今更訂正するのも面倒くさいし、とりあえず抹の言葉遣いを崩せれば良いから、もうこのまま押し通そう。



「いいから。ほら、『へいへ〜い』」



「へ…『へいへい』…」



「う…うん?うん、なんかそこはかとなく上品なんだけど…まあいいか。抹、ちょっとそんな感じの砕けた口調で喋ってみなさいよ」



「砕けた口調、と申されましても…」



「ああ〜ダメダメ!『申されましても…』なんてもう全然ダメ!敬語、ナシ!今から敬語禁止!ハイ開始(スタート)!」



「ですが…」



「ブブー!それも敬語です!正しくは『だけど…』よ、抹!」



「だ、だけど…」



「うん、なに?」



「尼君様、私…」



「はい、ブブー!ブブーブブー!ワタクシ、なんてお上品すぎるわ。『あたし』…いや、いっそのこと『あたい』?」



「あ…あたい?それは何ですか…?」



「女の子が自分を指す愛らしい一人称よ?ごく一般的に使われているから心配しないで」



 嘘八百を並び立てながらあたしは抹をビシバシしごいた。



 そして爆誕した、新生・抹がコチラ。



 先に言っておく。驚かないでよ。



「YO!YO!チェケラッチョー!ザギンでシースー!チャンネーとワイハー!」



 クネクネ、と抹は腰を動かした。

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