参ノ巻
抹の恋?
2
[4/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あたしは抹としっかり向き合った。
「けど!筋肉とか、鍛え方とか、ちょっとイキナリぶっ込みすぎなんじゃない!?いや、抹が緊張してたのもわかるし、本当に筋肉趣味なのかもしれないけど!でも、高彬は見たまんま真面目の純真培養ですみたいなヤツだから、ああいうテでいくのならちょっとこの先厳しいわよ。待って、あたしももっと真剣に考えるわ。多分高彬なら…」
高彬なら、風が吹けば折れそうな庇護欲を誘う風情がいいのかもしれない。
そう考えたとき、晴天の霹靂のようにあたしに一つの考えが舞い降りた。
いや、ちょっと待って!?一回、抹にあたしを真似させてみるのはどうだろう!?押してダメなら引いて見ろ、ってね。チョット違うか?でも試してみる価値ありかも!
あたしはぽんと手を打ってぐぐいと抹に近寄った。抹が怯えたように身を引く。失礼な。あたしは構わず、至近距離で抹を追い詰めるとにっこりと笑った。
「抹。ちょっと『へいへ〜い』って言ってみて」
「え…」
抹の顔が歪む。唐突すぎて、あたしの発言の意図が掴めないのだろう。
しかも良く考えたらあたし私生活でも別に「へいへ〜い」なんて使ったことないわ。でも今更訂正するのも面倒くさいし、とりあえず抹の言葉遣いを崩せれば良いから、もうこのまま押し通そう。
「いいから。ほら、『へいへ〜い』」
「へ…『へいへい』…」
「う…うん?うん、なんかそこはかとなく上品なんだけど…まあいいか。抹、ちょっとそんな感じの砕けた口調で喋ってみなさいよ」
「砕けた口調、と申されましても…」
「ああ〜ダメダメ!『申されましても…』なんてもう全然ダメ!敬語、ナシ!今から敬語禁止!ハイ開始!」
「ですが…」
「ブブー!それも敬語です!正しくは『だけど…』よ、抹!」
「だ、だけど…」
「うん、なに?」
「尼君様、私…」
「はい、ブブー!ブブーブブー!ワタクシ、なんてお上品すぎるわ。『あたし』…いや、いっそのこと『あたい』?」
「あ…あたい?それは何ですか…?」
「女の子が自分を指す愛らしい一人称よ?ごく一般的に使われているから心配しないで」
嘘八百を並び立てながらあたしは抹をビシバシしごいた。
そして爆誕した、新生・抹がコチラ。
先に言っておく。驚かないでよ。
「YO!YO!チェケラッチョー!ザギンでシースー!チャンネーとワイハー!」
クネクネ、と抹は腰を動かした。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ