参ノ巻
抹の恋?
2
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も本当はわかっているのだ。
あたしは気持ちを落ち着けるために、ふーと大きく息をついた。高彬が本気で言っているのなら、あたしも本気で返さなければいけない。
「…簡単なんて言って、悪かったわ。あたしも、あんたのことは、大事よ。大切。当たり前よね、ずっと一緒に過ごしてきた弟みたいなものなんだから」
「瑠螺蔚さん。僕が言っているのは、そう言うことじゃ無い。勿論僕だってあなたが大切だ。でもそれは姉としてなんて、そんなことを言っている訳じゃ無い」
「わかってる。…わかってるわ。だから最後まで聞いて。あのね、あたしってこんなんでしょ?どう贔屓目に見ても、良妻賢母なんてとことはほど遠いし、外見だって美姫なんてお世辞でも言えないわよ」
「瑠螺蔚さん!僕は…」
「最後まで聞いてって!だからね、あたしは、大事なあんたには、あたしなんかじゃない、もっと美人で、大人しい人が合うって言うか…そっちの方が、あたしと違って、世間に後ろ指指されずに幸せになれるわよ」
「…」
「…あれ、聞いてた?今大事なところよ?もしもーし」
「…聞いてたよ…」
高彬の声が、聞いたことが無いくらい低い。
「瑠螺蔚さん、そんな下らないことを考えていたの?ずっと?僕があなたに婚姻を申し込んだ時も?」
「下らない?随分な言いようじゃ無いの!大切な人に、誰より幸せになって欲しいと思うのは普通でしょ!下らなくなんて、ないわ!」
「そう思うなら!」
高彬が声を荒げた。
「僕のことを大切だと、誰より幸せになって欲しいと、真にそう願っていてくれるのなら!僕の傍にいてくれ!僕が、どれだけそのことを願ってきたかわかる?僕は、瑠螺蔚さん以外欲しくない。望むのは、一生を共に過ごして欲しいと望むのは、瑠螺蔚さん、あなただけなんだ。どんなに外見が美しくても、中身が素晴らしくても、僕にとっては意味が無い。瑠螺蔚さん、あなたでないのなら」
とんでもないことを言われていると、わかる。
「で、でも…」
「でもはなし。瑠螺蔚さんが自分に自信が無いのは嫌と言うほどわかったよ」
ちょ、ちょっと待って?十歳の高彬ってこんなこと言う子だったかな。
でも目の前にいるのは明らかに小さい頃の高彬だ。くりくりとした目も、常にハの字になっている自信がなさそうな眉も、見慣れたちっちゃい高彬…。
あれ、でも、声は、声だけは声変わりも済んだ今の高彬の声のような…?
「もう、瑠螺蔚さんの意見を聞くのはやめにする」
考え事をしていたら不意にず
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