蒼璧と紅刃
蒼色の鎧
2 旅立ちU
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「それにしても勇者よ、貴殿がこの国に来てからもう何年もたつな……」
立ち上がり、王室から去ろうとした俺の背中に声が投げかけられる
「まあ、それなりに経ちますね」
半分適当に答えを返す、確かにあの町をでてきてここにたどり着いてからすでに三年以上は経っている、どうやってこの町までたどり着いたかは忘れてしまったが
「貴殿が遠い国からこの国を訪れた時にこの国の騎士団隊長を倒してしまい、この旅人を国外へ永久追放するかそれとも新たな戦力としてこの国の騎士団に入れるかを争った討論はいまだに団の中で人気の話題だと聞いているが?」
「その話はやめていただきたいですね……つい先日までずっとネタにされ続けていたんですから」
そこまで言って一旦話が途切れた、このまま話をやめて急いで出発しようとしたがどうやらそれは王様が許さないらしい、いままでの重苦しい表情とは打って変わって王の表情がパッと明るくなる
椅子に座っていた体を少し浮かべ、こちら側を食い入るように見つめてくる
その眼はまるで、新しくおもちゃを手に入れた子供のようだ
新しく、自分にとって使えると思うものを見つけた子供のようだ
「ところでイルよ、旅立つ前に聞きたいことが二つほどあるのだが!」
―――――お断りします
そう口に出して言いたいのを無理やりぐっと抑える、
さすがに王が見ているところではある程度従順にならなければいけない
「貴殿がなぜこの国を訪れたのかを聞かせてほしい、そしてもう一つ、これはとても重要なことなんじゃが、貴殿の使うその短い詠唱で行うことができる鎧や壁などを作り出す魔法!はたしてどうやって手に入れたのだ?もう旅立つのだから教えてくれ!」
嫌悪感がわいた、騎士団長を倒したときに鎧の術を使った時から定期的に言われ続ける言葉、確かにこの術を誰もが使えるようになれば国の防衛には大きく役立つだろう
ただしこの術は教えるわけにはいかない、というかそもそも教えて覚えられるようなものじゃない
「二つ目の質問は前にもお答えした通り、生まれた国では普通に使われていた魔法だったのでどう覚えたのかは忘れてしまいました、一つ目の質問は……啓示を受けたんですよ、女神様から」
女神と言った瞬間に王の顔が少し曇る、乗り出していた体を元に戻しゆっくりと息を吐く
「その女神は……どのような力を持っていた?」
「炎ですね、といってもそこまで高位の存在ではないらしいので概念などにも触れれるような存在ではないらしいですけど」
「そうか……ならいいが……そうだ、旅に行く前に酒場によるといい、腕利きの戦士などを用意してある」
王の話が終わったタイミングで礼をし、急いで外に出る
そのまま国の外に出て行動を始めようと
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