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クロスゲーム アナザー
第八話 いい夢を見させてくれ……
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に何があったのかは分からない。
きっと、俺が知らない二人の間に確執があるのだろう。
でも、どんなことがあっても赤石はいつもと変わらないでいてくれる。
それはきっと……。
赤石にとってこの大会にかける想いが特別なものだからだろう。
俺には解る!
だって、ここは……俺にとっても特別な場所なのだから。

『コウ』。『コウ』。

若葉の声が聞こえる。

『何になるんだろうね? ……コウは』

すぐそこにいるかのような感覚で。

『楽しみだなー、コウがどんな大人になるのか』

俺を導いてくれる。

月島若葉が最期に見た夢。

『超満員の甲子園!』

それを叶えるまでは、俺は誰にも負けられない。

『星秀、喜多村! 最後は外角の直球で四番、杉本を三振に打ち取りましたー』

次く、五番、六番を三球三振で打ち取りながら、俺は若葉への想いを思い起こしていた。
二回、裏の星秀の攻撃は、一番、千田がレフト前ヒットで出塁。
三谷がセンター前ヒットを放つと、中西が外野フェンス直撃の走者一掃ツーベースヒットを放ち。
そして、四番東は……。

ザワ!

『敬遠?? 二打席連続敬遠です。策士バッテリー勝負しません』

そして、打席には赤石が立つ。

『おっと、これは危ない!
赤石選手、身を引いて仰け反った』

二度目の危険球。
だが、それを赤石は読んでいた。
次に放たれた高めに浮いた速球を捉えてバットを振るうと、高く上がった球はライトの頭上を越えて落ちた。
打球が転がるその間に、東はホームベースに還って。
7点差に広がった。
下位打線は相手の球にしっかりバットを当てるも無得点で、終わり。
三回表。相手は積極的に打ちに来たが。
相手が悪かった。
今日の俺は絶好調で。ヒットはおろか、四死球を一つも出さずに気づけば試合は五回を終えようとしていた。
五回裏。先頭打者は四番、東から。
この打席も敬遠か?
と思われたが。

『おっと、策士バッテリー、ここは勝負です!
ピッチャー、振りかぶって……投げたー!』

相手が放った球はキレのあるスライダーで。
バッターの体近くからベースをかすめて内角に決まる……ところで東のバットが火を噴く!
左対左。
普通の打者なら、踏み込めないえぐるようなスライダーだが、東はそれを完璧に捉えて。
一塁強襲、フェアとなる二塁打を放った。
次く、赤石も安打といきたいところだったが……。

『あ、危ない! 赤石、仰け反りました。
これは、危険球です! おっと、主審動くかー??
策士学院、投手の交代です!』

二番手投手。背番号10番の左投手に変わったが、俺は相手が投げた外角低めのボールを捉えて、タイムリーヒットを放った。
そして、
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