第八話 いい夢を見させてくれ……
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の中、俺は一塁側の観客席に視線を向けると。
そこに、世界で一番嫌なヤツの姿を見つけた。
驚いてるのが解る。
はっきりと、解る。
解ってしまう。
一葉姉ちゃんに言われた言葉を思い浮かぶ。
『似てるのよ。アンタ達は』
そう。
似てるからな、俺と青葉は。
だから解ってしまう。
どんなに離れていても。
どんなウソをついても。
全部……。
その後、チャンスとばかりに攻め込んだ星秀学園だが、相手の投手は崩れなかった。
下位打線を翻弄し、無失点で切り抜けて。
一回裏。星秀学園VS策士学院の投手対決は……
星秀の4点リードで終える。
そして、二回表。
相手の攻撃で、マウンドに立った俺に赤石がタイムを取り寄ってきた。
「なんだ? さっきのお返しに思いっきりぶつけろ!
……か?」
「いんや。夢を見させてくれ。
俺を見損なうなよ、コウ。
それに……」
「それに?」
「______!
______コウ」
赤石はそう告げると、ホームベースの先、捕手の定位置に戻りミットを構えた。
相手は四番打者。
この大会。ここまで、3本の本塁打を放っている強打者だ!
相手の打者がバットを構えると。
赤石からサインが出さた。
内角高めに外せ!
俺は思いっきりぶつけるくらいの気持ちでミットめがけて腕を振るった。
バン!
『おっと、これは危ない! すっぽ抜けたか?? 制球力がある喜多村にしては珍しい……打者思わず尻餅をついてしまいます。
そして、今の球速は______な、なんと160キロ!』
相手の打者の顔が驚愕に変わった。
160キロの球が自分めがけて迫る恐怖。
想像しただけで恐ろしい。
赤石を見ると、次のサインを出してきた。
次も内角高めいっぱい。
ミットめがけて投げると、放った直球はストライクゾーンギリギリに入った。
『こ、このコースにあのスピードで、あの球威の球を決められたら手が出せません。
な、なんという投手なんでしょうか?』
『喜多村……光君、ですね』
『……』
三球目のサインは内角低め。膝下に向かって投げる球。
相手は恐怖で一歩も動けず。
これも内角低めギリギリに決まって、ワンボール。ツーストライク。
追い込むことができた。
赤石のサインを確認して、次の投球動作へ移る。
そして……先ほど赤石が告げた言葉を思い出す。
『それに、感情的になって暴れたら試合がめちゃくちゃになっちまうだろ?
そしたら月島に怒られるし、あかねちゃんにも嫌われちまう。
それに何より……月島若葉が見た夢の舞台は今日じゃねえ!
野球やろうぜ______コウ』
よかった。いつもの赤石だ。
相手の投手と、赤石の間
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