第七話 嫌〜な感じだなぁ……
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。東の次は赤石ですから」
俺はそう監督に告げた。そう。今、打席に向かったのは星秀が誇る脅威の四番打者。
東 雄平の打席だ!
東なら打てる!
そう思っていると。
「でも……一塁、空いてますよ?」
マネージャーの大久保がそう告げた。
……??
監督と顔を見合わせたその時。
ワー! ワー! ブー! ブー!
と一塁側、星秀学園の応援団が座る観客席からブーイングが上がった。
視線を打席の方に向けると。
『おっと?? ここは敬遠策?? 策士バッテリー、一打席目から勝負をしません。東を歩かせる為に捕手は立ったままです!』
バシ!
バシ!
バシ!
バシ!
『四球!』
東は歩かされた。
だけど、これはチャンスだ!
次の打者は赤石!
東ほどではないけど、長打力のある打者だからな。
バットを構えた赤石に対して、相手は大きく振りかぶった。
「……二塁も空いてますよね?」
大久保がそう呟いたが……まさか、な。
いくらなんでも初回から勝負を避けたりしないだろう。
そうネクストバッターサークルで思っていたその時だった。
ワー! キャー!
悲鳴にも似た声が、観客席全体から聞こえ。
赤石がいるはずの方を見ると。
赤石が片膝をついて俯いていた。
『おーと、これは危ない! 危険球だ! 黒石選手、突然の制球力の乱れ! これはどうしたことか?? 黒石選手が投げた球は、赤石選手の左肩に当たりました』
『大丈夫ですかね? キャッチャーにとって肩を痛めるというのは致命的なことですからね』
場内実況が聞こえる中。
「……すぐに冷却スプレーの用意を」
「は、はい!」
監督はマネージャーの一人に指示を出した。
急いで冷却スプレーを探すマネージャーを遠目に見ながら。
俺は呆然とすることしかできなかった。
「……赤石?」
『ただいま、治療の為一時中断となります。再開まで今しばらくお待ちください』
場内放送が流れ、赤石がベンチに運ばれていった……。
俺も赤石の方に駆け寄ろうとしたが。
「大丈夫、ちょっと掠っただけだ……心配はいらねえよ」
俺にも聞こえるくらいの声の大きさを出した。
結局、一度ベンチに戻った赤石だが……。
治療を拒否してすぐに一塁に走っていった。
俺はふと、マウンド上にいる相手の投手を見ると。
……見間違いだよな?
きっと緊張で手元が狂っただけだ!
大舞台で緊張しただけだ……。
そう思いたかったが……俺は見てしまった。
マウンド上に立つ相手の投手。
黒石 裕也。
ソイツの顔
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