暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
GGO
〜銃声と硝煙の輪舞〜
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ら第三世代をブチ抜いた対戦車兵器はこの《吸血鬼》ただ一つなのだ。
―――だが。
「これでも、あのバケモノは倒せないよ」
冷静に、冷淡に、いっそ冷酷に、ミナは言う。
GGO内で発見されている火器の中でも屈指の攻撃能力を持つ《吸血鬼》であっても、それはあくまでもシステム上のものであり、シンイという得体の知れない法則の中にあるあの巨人を倒せるようなものは期待できないかもしれない。
だが、その言葉にリラは笑う。
「かもしれない」
否定はしない。
だけど、肯定もしない。
「倒せるとは考えてない。だけど、あたしはこの世界を信じたい。この世界の強さを信じたい。たとえ相手がシンイとかってワケわかんないモノでも、それでもアイツは今ここにいる。この世界にちゃんといることには変わりないわ」
本体である二つの円筒を組み合わせ、全長二メートル弱もの巨筒をスリングで背負いながら、リラは言った。
「オバケみたいに存在自体があやふやなものじゃないのよ。だったら、ブッ飛ばせるってことじゃない!」
にっと笑ったその不敵な笑顔に、ミナは呆れ半分に口を開く。
「もう、リラちゃんったら。……勝算は?」
「もち!あるに決まってるでしょ!」
そう言って少女は、極力衝撃を与えないように平面なところに置かれていた弾頭に組み付いた。一分ほどいじくってがっぱりと開けられた内部を見、ミナは息を詰まらせた。
「うそ……これって……」
「ね?これならアイツも」
「…………てかリラちゃん」
「う、うっさいわね。有効利用よ、有効利用!」
バタン、と少々乱暴に外殻を閉じてから、少女は弾頭も持った。
ミナはデカい三脚と、ハンディカメラを大きくしたような箱を手に取る。
「で、でもさ、リラちゃん。これ、当てられるの?弾代がバカみたいに高いからって、ほとんど練習しなかったじゃない」
「うぬ……」
確かにそこは問題だ。この得物は高威力と引き換えに、反動を抑えるための必要
筋力値
(
STR
)
がかなり要求される。ある程度は十二キロもある本体重量と三脚によって軽減されるが、それでもリラのステータスでは僅かに足りなかったのだ。当然、自分より
敏捷値
(
AGI
)
に多く割り振っているミナは論外。おそらく持てすらできないだろう
加えて、ロケットランチャーの放つ弾頭というのはミサイルなどと違い、無誘導である。それ自体が大きいため、当然速度も他の弾丸より遅く、風などの気候条件に左右されやすい。
GGOではシステムアシストの
着弾予測円
(
バレット・サークル
)
があるとはいえ、根本的なところはプレイヤー本人が行う。射手本人が風向きや目標との距離、高低差などを計算して放つ一弾と、何も考えずただスコープを覗いて
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