精神の奥底
53 朝の到来
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ックを掛けると、小走りで空港の中に入った。
「……」
周囲を見渡しながら、足を進める。
そこはもはや異国だった。
いろんな国のいろんな人種の人々が行き交う出入国カウンターだ。
売店も普段見かけない食べ物であったり、おみやげを販売している。
普段から出張でよく使う場所だというのに、何度来ても慣れなかった。
祐一朗は入国審査を受けた後、真っ先に行くであろう場所へ向かった。
現代では欠かすことのできない通信手段を確保するための場所、モバイルセンターだ。
一部のキャリアならグローバルローミングも可能だが、現地の通信キャリアを使用するのが一般的だ。
「光博士!」
祐一朗を呼ぶ声が聞こえてきた。
祐一朗は振り返ると、そこには自分が昨晩呼び寄せた人物が立っていた。
身長は160センチ前後、スリムな体型ながら筋肉質で黒の髪に一部、白のメッシュが入った特徴的な外見。
西洋的かつ、中性的ながらも男らしい顔立ちで、本来の年齢よりも大人びて見え、一見、モデルにも見間違えそうなそのスタイリングは作業着のように穿き古された迷彩色のジーンズにダークグレイのVネックTシャツ、そしてその上にオーダーメイドの高級ブランドのワインレッドのジャケットという不自然なファッションを自然なものにしていた。
「久し振りだね、炎山くん。急に呼び出してしまってすまない」
「いいえ。どうせ近々、ニホンに来るつもりでしたから。前乗りも兼ねて予定を少し繰り上げる程度でしたよ」
その少年は世界を代表するIT企業・I.P.Cの御曹司であり、世界を股にかけてサイバー犯罪と日夜戦い続けているオフィシャルネットバトラー、伊集院炎山だった。
祐一朗は彼と会うのは、もう1年ぶりになる。
身長も伸び、元から大人びていた立ち居振る舞いはより精錬されたものになっていた。
背後には数名のオフィシャルの調査官がついてきている。
炎山はモバイルセンターで短期間のプリペイド契約を済ませたLumiaをポケットにしまい、祐一朗と共に歩き出した。
「状況に変化は?」
「電話で話した後は特に無い。熱斗がWAXAの課長に逮捕され、ダークチップがまた世間に流通を始めたらしい」
「ニホンにいる捜査官に調べさせたところ、ValkyrieというPMCがネビュラに続くダークチップシンジゲートになって次々と事件を起こしているようです」
「ニホンに捜査官が?オフィシャルも今回の事件を追っているのかい?」
「えぇ。我々だけでなく、他の捜査機関もです。我々は主にダークチップの摘発を狙っていますが、Valkyrieの本職は銃火器の販売です。そちらの方で世界中で多くの被害が出ています。そしてValkyrieは最近、ニホンで目立った動きを見せるようになりました。
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