精神の奥底
53 朝の到来
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」
背後から何者かによる攻撃を受け、男たちは気を失った。
「どうしたの…?ねぇ…?」
「お迎えに上がりましたよ?美寿ちゃん」
「!?あなた…」
不意に視界が明るくなる。
ここは大型のバンの中だ。
数秒前まで自分と会話をしていた男たちと思われる者は気を失って倒れており、目隠しを外した者が目の前で笑顔を作っていた。
長い銀髪にキャップ帽をかぶった少年だ。
「最初捕まった時は白目むいてぐったりしてたもんだから、てっきり死んじまったかと思いましたよ?ん…もしかして今は美緒さんの方ですか?」
「私たちに何をさせるつもり…?」
「私たちって言われても、美寿ちゃんの方はノリノリなんで。まぁ、面倒なんで美寿ちゃんだけちょっとお借りしますよ?っと」
少年は手錠を掛けられ、動かせない左腕に手早くトランサーを着けると、紫色のユナイトカードを挿入した。
「うっ…」
その瞬間、ただでさえ朦朧とする意識にもやもやとしたものが襲いかかり、自分の中で何かが暴れ始めた。
一瞬、身体が自分のもので無くなったのを感じた瞬間、口が勝手に動き、この言葉を発した。
『電波…変換…』
次の瞬間には自分の中で湧き起こってきた何かが飛び出した。
その美しい肢体をくねらせるようしながら姿を現し、少し気だるそうにあくびしてみせた。
「ふぁ…ありがと。ママったら、いきなり表に出てくるんだもの。少しびっくりしちゃった」
そこに現れたのは、僅かに紅色がかった黒のスーツに角度によって様々な輝きを見せるゴーストホワイトの装甲に覆われた電波人間だ。
首筋や手首、足首の装甲は柔らかなフローラルホワイトの毛で覆われ、特にバイオレットのバイザーが備わったヘルメットからは鬣のように、そして腰の部分からはしっぽのように伸びている。
そして何より額からライトブルーの角が生えているのが特徴的だった。
「そんな…美寿…」
目の前でこちらを見下す『ヤヌス・ユニコーン』の姿に圧倒されながら、高垣美緒はそう呟いて再び意識を失った。
10月31日午前8時42分、空は昨日の夜の雨を忘れてしまったように晴れていた。
明け方は少し肌寒く、季節相応に僅かに足を踏み入れたように感じたものの、やはり異常気象の影響か気温は既に25℃を超えている。
この調子ならば、正午には30℃を超え、最高気温は35℃に迫る勢いだ。
一度深呼吸をしながら、ハンドルに備えられたパドルシフトでシフトアップする。
DCT式のセミオートマチックトランスミッション、俗に言う2ペダルMTの為、クラッチ操作は必要が無い。
この自動運転の乗用車が増えつつある中でセミオートマチックとはいえ、昔ながらの
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