オペラセリアのエピローグ 2
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
でも、掴んだら進め。
そして、自分の足で歩け。
ですよね、師範。
「……はい。ありがとうございます」
アリアの微笑みも、いつかはもっと力強く綺麗に咲くだろう。全ては彼女次第だ。
「フィレスさん」
「はい……え?」
振り向いたら突然、クロスツェルさんに頭を下げられてしまった。
「貴女にご協力いただけたおかげで、ロザリアと再会できました。ありがとうございます」
「ああ。いえ、会えて良かったですね」
「はい」
上げた顔は、本当に嬉しそうだ。
うん。此処まで露骨だと私も気分が良い。
「お幸せに」
余計なお世話だと分かっていても、こんなに にこにこされてしまえば言いたくもなる。
クロスツェルさんとアリアは顔を見合わせ……あ。アリアのほうがちょっと困惑気味。
二人共いろいろ抱えてるし、仕方ないかな。
しかも、ロザリアさんを追い掛けて来たのは……
「……って、さっきからベゼドラさんが戻って来ませんね? まさか、異空間に置き去りとかでは」
きょろきょろと見渡してみるが、やはりあの目立つ黒い容姿は何処にも無い。
廃墟と化した神殿の中心に居るのは、マリアさんとリースさんとティー、私とクロスツェルさんとアリアだ。
異空間から出る前に姿を消したのは見ていたが、大丈夫なのか?
「彼は今、ロザリアが張った結界内に居ます。もう少し落ち着いてくれたら話しに行こうと思っていたのだけど……ずっと草を毟っているの」
「……そうですか」
私も行ったあの場所かな。
陽光満ちた穏やかな風が吹く草原で、ひたすら草を毟るベゼドラさんの姿……容易く想像できてしまったのは何故だろう。
「そろそろ限界だと思うから、行ってきます。……クロスツェルは」
「此処で待っています。二人にしか通じない話もあるでしょう?」
「……ええ」
俯くアリアの頭を撫でるクロスツェルさんの仕草が自然だ。申し訳なさそうに見上げたアリアの表情が、ゆっくりと穏やかになっていく。
これが世間一般に言われる「良い雰囲気」か。なるほど。
「では、私達も師範達の教会へ移動します。また何処かでお会いしましょう」
「はい」
「また、何処かで」
二人に一礼すると、同時に頭を下げてくれた。
しっかりした挨拶は、出逢いも別れも気持ちが良いな。
零れた笑顔でアリアを見送ってから、マリアさん達に向き直る。
「お待たせしました」
「決まったんですね」
何が、とは聞き返すまでもない。
「はい。お願いします」
「……では、行きましょう。リースリンデもしっかり掴まって」
「はい!」
ティーとリースさんを肩に乗せたマリアさんと手を繋ぎ、一人神殿に残るクロスツェルさんにもう一度頭を下げた。
景色
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ