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逆さの砂時計
オペラセリアのエピローグ 2
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マリアさんに別れを告げて直ぐに時間を止めたレゾネクトの体。それを目に見えない場所へ飛ばしたアリアに声を掛けた。
 落ち着いた様子で向き合う彼女は、振る舞いも雰囲気も優雅で洗練されたものに変わってる。
 さすが女神歴……実質何十年になるんだろう?
 「……翼と力の封印、ですか?」
 「ええ。ある程度人間生活を過ごしたら私も泉へ行こうと思いますので、期間限定でお願いしたいと。難しいでしょうか」
 「いいえ……分かりました。少し失礼します」
 アリアの右手が私の額に軽く触れる。
 目蓋を閉じて数秒後、頭の奥で りーん……と尾を引く鈴の音が響いた。
 「……これで暫くは人間と変わらない生活を続けられます。解ける前にどうしても解放したい時は、私の名前を呼んでください。私が何処にどんな状態で居ても、必ず駆け付けますから」
 目を開いて肩越しに背中を確認。白く大きな翼が完璧に跡形もなく姿を消してる。
 試しに言霊を使ってみようと意識を高めるが……あれ? 使い方が解らない。最初からそんなものは無かったって感じだ。
 ふむ。これが封印か。
 妙に納得してアリアに向き直れば、目元は赤くても浮かぶ微笑みはふわふわと柔らかい。
 現状はいろいろと複雑そうだが、彼女なりになんらかの結論を出したらしい。
 「ありがとうございます。お手数を掛けますが、よろしくお願いします。あ。今更ですが……助けてくださって、ありがとうございました」
 レゾネクトに襲われた夜、逃がしてくれたお礼をまだ言ってなかった。
 単純にそれを伝えたのだが、首を傾げ……落ち込んでしまった。
 自身の力で人間離れした私に責任を感じてるのかな。
 「貴女には、どう償えば良いのか……」
 やっぱり。
 こういう場合、気にするなと言っても無理な相談。下手に遠慮しても(わだかま)りが残る。
 なら
 「そうですね。では、私の力が必要な時はいつでも利用してください。折角手に入れた道具を無駄にするのも勿体無いですから」
 「利用だなんて!」
 「私も今、貴女を利用しました。これからも必要なら利用します。お互い様ですよ。神でも何にでも、なったらなったでその道に沿う生き方をすれば良いだけの話です。悩むのなら進み方に。有意義な時間を選びましょう」
 状況を正しく認識して先へ進む動力に変える。後悔するなとは言わないけど、そればかりじゃ抜け出せない何かが人生には溢れてる。
 過去は抱えて、未来を改良していくしかないんだ。
 「羨ましい……貴女の強さが私にもあれば」
 「自分を強いとは思いませんが、羨望は確かな目標……糸になります。獲た糸を頼りに歩けば良い。一歩進めば、それが貴女の強さです」
 踏み出すのはどんな時だって怖い。が、進まないと何も始まらない。
 だから、どんなに細い糸
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