オペラセリアのエピローグ 2
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私達の目的は、アリアとレゾネクトを引き離す事。
では何故引き離すのかと言えば、レゾネクトがアリアの力を利用して異空間から此方の世界へ戻り、自分探しの名目で破壊活動に勤しむつもりだと推測していたからだ。
ところが、レゾネクトの目的は私達の考えとまるで違い、世界もアリアも大して問題にはしてなかった。
レゾネクトに破壊意識も敵意も無いと判明した以上、私達が争う理由は無い。
クロスツェルさんとベゼドラさんの目的であるロザリアさんとの再会も果たせた。
アリアを神々が眠る世界へ送るつもりも無さそうだ。
全世界に深い禍根を残してはいるものの、それもアリアとレゾネクトが時間を掛けて償っていくらしいから……まぁ、大体は解決したと思って良い。
少なくとも、怪奇現象での世界大崩壊の危機は回避された。結果は上々だ。
さて。
では、私はこれからどうしようか。
休暇期間を一週間以上も超過してしまったし、自警団の皆にも領主達にも確実に迷惑を掛けてる。
まさか捜索まではされてないと思うが……ただでさえ虚偽の報告をしなければならないのに、其処までされてたら余計に尤もらしい嘘が必要になる。
迅速な帰還は最優先事項だが、それには天引きされた給料と位の剥奪、関係者達による激しい叱咤、独房への長期拘束の可能性がもれなく付いてくる。非常に頭を痛める日常が諸手を挙げて大歓迎してくれるだろう。
ああ、胃までがキリキリと不安を訴えだした。判っていた事なのに、いざ目前に迫ると怯んでしまうのだから、我ながら情けない。
しかも、頭痛を伴う問題はその後も続く。
私は既に怪奇現象の仲間入りを果たしてる。これまでと同じ生活の持続は不可能に近い。翼や力を封印なり移譲しても寿命はどうにもならないと、時の神バルハンベルシュティトナバールやマリアさんやアリアが証明してる。
その割に、堕天使の一族が私の代まで人間として生き死にを続けてきたというのは不思議な気もするが……封印した状態で人間と交われば、その子供は人間寄りに産まれてくるとか？
或いは、アーレストさんが言ってた生物独特の音楽と因果関係があるのかも。
なんにせよ、完全に覚醒したら人間には戻れないのが現実。
これは自分で選んだ行動の責任。故に逃げたりはしないが、立ち向かうには少々覚悟が要る。雲隠れの機会と方法の見極めが重要になるのだ。
だらだらと未練を残さない為に、限られた年数をどう活用するか。どう他者と関わるか。
うん。とてつもなく難題だ。
師範ならどうするだろう……なんて、他人任せは良くないな。
自分で考えて、決めて、進むしかない。
人間でいられる間は、人間として自分の道を精一杯歩こう。
それが生きるって事でしょう？
「アリア。貴女にお願いがあるのですが」
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