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怪我から
2部分:第二章
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る。そのことだけはと思ってだ。しかしそれでも娘は今こんなことを言った。それが悲しくてならないのだ。
「このことは」
「聞いたけれど必要ないわ」
 そしてこれが娘の返答だった。
「そんなの。全然」
「いらないっていうのね」
「だからいるの?そんなの」
 逆にこう聞き返してくる。
「思いやりとか気遣いとか。必要ないじゃない」
「一人で寂しくないの?」
「全然」
 また答える。
「だって他の人と一緒にいたらわずらわしいから。一人だと自由じゃない」
「自由なのは自由よ」
 母もそれは認める。
「けれど本当に寂しくないの?」
「全然。そんなの感じたこともないわ」
 これは本当のことだった。彼女はそんなことは感じたこともない。いつも一人で走り一人で勉強して。そうして結果を残してきたからだ。
「今までね」
「そうなの」
「また走れるようになったら同じよ」
 実生はまた言った。

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